再生可能エネルギー(太陽光)の固定価格買取制度とグリーン投資減税⑥固定価格買取制度2年目の再エネビジネスの動向

掲載日 : 2014年1月27日

平成24年7月に施行された固定価格買取制度も2年目を迎え、施行当初に比べると認知度も増し、中でも太陽光については賛否両論ある中、ビジネスとしては活況を呈しています。
今回は最終回ということで、私が見聞きした範囲ではありますが、最近の再エネビジネスの動向についてお話させていただいて、このコラムを締めさせていただきます。

H26年度の調達価格
 第2回のコラムで述べさせていただいたとおり、調達価格は年度ごとに経済産業大臣が告示することになっておりますが、平成25年度については、10KW以上の太陽光の建設費が10%下落したことを根拠に調達価格を太陽光の調達価格を10%下げ(42円⇒37.8円)、風力他の調達価格については据え置きとなりました。

平成26年度については、目下調達価格等委員会においての議論が開始されているところですが、平成26年3月までに調達価格が告示されることとなっております。本年度も太陽光の調達価格の議論が焦点となっており、経済産業省が収集した太陽光の建設費に関するデータ(本年度は昨年よりサンプルが多い)をベースに価格が決定されることとなります。

2つの優遇措置と2015年(H27年度)問題
平成26年度で2つの優遇措置が終了することとなります。

発電事業への3年間の参入促進措置(第2回のコラム参照)は平成26年度で終了し、グリーン投資減税即時償却制度(第4回のコラム参照)も平成27年3月完成が要件です。このため平成27年度以降(H27.4以降)はこのビジネス、特に産業用太陽光発電については大幅に縮小するのではないかという声も聞かれます。(2015年問題)

認定を取得したものの発電が開始されていないケース⇒太陽光発電プロジェクトのM&A
 経済産業省によると、平成24年7月以降に設備認定を受けた産業用太陽光発電設備のうち既に運転が開始されているものは約17%(382.7万KW/2249万KW、平成25年10月31日現在)です。

運転が開始されていない残り83%は、建設途上のもの、連系協議中のもの、資金調達の問題で止まっているものなど様々でしょうが、その中には平成24年度の42円の権利を取得したうえで、パネル等のイニシャルコストの下がるのを待って発電設備の建設を目論むものもあると言われています。

経済産業省は「国民負担を考慮すれば高い買取価格の空取りは看過できない」として、昨年10月に400kw以上の太陽光発電設備認定者に対して、報告書徴収を送付し、この報告書徴収により個々の認定設備の運転の遅れている理由を明らかにし、「いつまでたっても具体化しない案件については取り消す必要がある。」と述べています。
 また、この報告書聴取以後、太陽光発電プロジェクトのM&Aが盛んになっています。

自力で太陽光発電プロジェクトを遂行できない者から信用力、資金調達力のあるEPCへ平成24年度の認定設備「いわゆる42円案件」の買取事案が数多く寄せらています。ただし、その買取事案の中身は玉石混合のようで、地主との賃貸借契約が曖昧なもの、発電事業が困難なものも数多く含まれているようですので、発電事業を行う土地のしっかりとしたデューデリジェンスが必要であるようです。

新しい販売形態(いわゆる建売方式、分譲型太陽光発電所など)
第2回のコラムで述べさせていただいたとおり、太陽光発電プロジェクトにおいては、対象土地等の選定、設備認定、系統連系協議などの工程が有り、事業化の意思決定から発電開始までは相当のリードタイムを要します。一方、グリーン投資減税の適用については決算期、設備の完成、発電開始などのタイミングが大変重要な要素となっていますの、最初から自前でプロジェクトを進める場合にはリードタイムの長さとタイミングの壁に悩まされることが多いです。

こうしたニーズを受けてか、最近ではEPCが適地を見つけて、EPC名義で設備認定を取得し、系統連系協議、発電所の建設等を行い、完成した発電所を発電開始前に新たな事業者に名義変更するということが行われています。(いわゆる建売方式)

また、同様にEPC名義で設備認定を取得し、系統連系協議を完了したものを土地付きで分譲することも行われています。(分譲型太陽光発電所)

いわゆる建売方式、分譲型太陽光発電所ともに、発電事業者にとっては、太陽光発電プロジェクトの意思決定行った段階で仕掛品又は完成品があるわけですから、結果としてリードタイムが大変短くなるというメリットがあります。

【関連コラム】
概要
固定価格買取制度とは
太陽光発電設備投資事案における投資シミュレーション
グリーン投資減税その他税務上の留意点
設備認定、系統連系申請の手続きについて

【コラム執筆者】
内橋慎一税理士事務所 
税理士 内橋 慎一