自筆証書遺言に記載できること

掲載日 : 2014年1月22日

遺言書は一定の方式を備えていれば、何を書いても自由です。
例えば、家族への感謝の気持ち、墓守のことなどを書くこともできます。ただし、法的に有効な事項は、限られています

身分に関すること ①認知、②後見人、後見監督人の指定
相続に関すること ①相続人の廃除や指定の委託、②相続人の指定や指定の委託、③特別受益の持ち戻し免除、④遺産分割方法の指定や指定の委託、⑤遺産分割の禁止、⑥相続人相互の担保責任の指定、⑦遺言執行者の指定や指定の委託、⑧遺留分減殺方法の指定
財産の処分に関すること ①遺贈や寄付行為(財団法人の設立)、②信託法上の信託の設定

認知
認知とは、婚姻外の相手との間でできた子と親子関係を生じさせる行為を言います。
認知をすることで、その子も相続人の1人に加わることになります。
もちろん認知は生前にもできますが、生前に認知すると遺言者の家庭が崩壊する恐れがあるときなどのために、遺言でも認知ができるようになっています。

後見人や後見監督人の指定
未成年の子などがいる場合には、遺言によって、誰か信頼できる人をその子の後見人に指定することができます。

相続税の対策で祖父母が、孫を養子にするケースがありますが、孫が未成年の間に養親である祖父母が死亡した際は、親権は実親に戻りません。
そのため養子縁組と同時に遺言書を作成し、未成年後見人を実親に指定しておく必要があります。
見逃しやすいポイントです。ご注意下さい。

相続人の廃除
遺言者に対して虐待や侮辱があった者を、相続人から廃除することができます。
ただし、必ず廃除できるわけではなく、遺言者の死後に家庭裁判所で認められた場合のみ、その者は相続人から廃除されます。

現実には、廃除は簡単に認められるものでありません。できれば事前に判例などを調べて本当に廃除に値することなのかをわかったうえで、廃除する理由なども示しておいた方が無難でしょう。
廃除された相続人については、子がいればその子が代襲相続することになります。
(例:長男を廃除したら、孫がいれば孫が相続します。)
相続放棄の場合は、代襲相続はないので勘違いに気をつけましょう。

遺産分割の禁止
5年以内の期間を定めて、その間の遺産分割を禁止することができます。
すぐに分割を開始すると争いが起きそうな場合などに分割を禁止しますが、遺産分割を10か月以内に行わないと、相続税の申告で支障をきたしますし、税制優遇などの各種特典が利用できなくなるなどのデメリットもありますので、禁止する際は事前に税理士に相談するなど慎重に検討しなければいけません。

遺言執行者の指定
遺言書の中で遺言執行者を指定することができます。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現させるために選任された人のことです。
相続の手続にあたって、不動産の登記名義の変更、預貯金の解約や払戻しをはじめとして、複雑で面倒な手続を同時に行っていく必要があります。
また、相続人の一人が遺言を執行した場合、自分に有利になるように執行したと見られる場合もあります。実際に長男を遺言執行者に指定した相続で、妹から信用できないとして遺言執行者解任の訴えを起こされて相談に来た方がいます。
遺言執行者を必ず指定する必要はありませんが、上記のような理由からできる限り第三者(弁護士や司法書士など)を指定することが望ましいでしょう。

【関連コラム】
自筆証書遺言とは?要件と注意点
自筆証書遺言の訂正方法と具体例
自筆証書遺言の書き方と記載例とポイント

【コラム執筆者】
勝司法書士法人
司法書士 勝 猛一