自筆証書遺言とは?要件と注意点

掲載日 : 2014年1月17日

自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、遺言者が、遺言書の全文、日付及び氏名を自書し、これに押印することにより成立する遺言です。

自筆証書遺言の要件
(①~④が必要)
①遺言の内容
②遺言者の作成年月日
③遺言者の氏名
④押印

遺言は民法に定める方式によらなければ、これをすることができません(960条)。
自筆証書遺言は、筆記用具、紙と印鑑があれば簡単に作成することができるため、多くの人に利用されています。しかし、形式を満たしていないと無効になる場合も多くあり、作成にあたっては注意する必要があります。

特に、一度書いた遺言を訂正する場合においては、その訂正の仕方が一般の人が知っている訂正方法と違うため、なかなか正しく訂正することは難しいものです。
家庭裁判所の白書では、遺言を訂正した人のうち75%が間違った訂正をしているという報告があるほどです。
自筆証書遺言の書き方と記載例とポイント

全文自書・署名が求められる理由
自筆証書遺言の作成にあたっては、証人や立会人がいません(不要です)。
このため、遺言内容が遺言者の最終意思や真意を確認する重要なポイントとして遺言の全文、日付及び氏名の自書、押印が求められています。

日付が求められる理由
自筆証書遺言が複数発見された場合、どれが遺言者の最終意思が記された遺言かが不明となります。この場合、死亡時に最も近い日付の遺言が優先されることになります。
その他、遺言作成の日付により、遺言時の年齢やその当時の状況が把握でき、遺言能力(※)があったか否かを判断する手がかりにもなります。

※遺言は、判断能力や意思能力があればすることができるとされています。

自筆証書遺言の注意点
自筆証書遺言は、民法に定める方式によらなければ、これをすることができず、せっかく作成した自筆証書遺言が無効にならないよう、以下の点に留意する必要があります。

自筆であること パソコンやワープロ等での作成は不可。
用 紙 何の用紙でも可。縦書き、横書き等の様式も自由。
日 付 日付印は無効。
遺言書が作成された日を特定できることが重要であるため、年月日まで記載。
なお、10月末日等は構いませんが、10月吉日は無効となります。
(死亡時に最も近い遺言が有効なため日付が特定できないと、どの遺言書が有効かを判別できないため、日付については要件として重要です。)
氏 名 本人が特定できれば芸名やペンネームでも可能だが、戸籍名が好ましい。
(よほど有名な芸能人などで無い限り、ペンネームや芸名は使用しないようにしましょう。金融機関の窓口や、法務局、市役所などで本名が特定できないと手続きに手間取ることは想像に難くないでしょう)。
印 鑑 認印でも可能。しかし実印が望ましい。
指印でも可だが、遺言者の死後に確認が難しい場合があるため避ける方が良い。サインは不可。
枚 数 制限はない。
ただし、遺言書が複数枚にわたる場合、ホッチキスでとめて契印、または袋綴じして割印が必要。
筆記用具 鉛筆でも可。ただし、後日変造されたり、消えたりすることのないよう、ボールペンやマジック等が好ましい。
封 印 遺言書の封印は絶対的な要件ではないが、変造・偽造を避けるために封印して、遺言書で押印して割印する方が良い。

その他、「遺言書」という表題はなくても無効にはなりませんが、遺言書であることを明確にさせるため記載しておいたほうが良いでしょう。
念書や覚書などと書くと遺言書と判断されない可能性もあるので、まずは書き初めに遺言書と書いておきましょう。

なお、遺言者の本人の特定のために氏名だけでなく住所や生年月日、本籍などを記載しておく方が一般的ですし、遺言執行する際に無難です。

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【コラム執筆者】
勝司法書士法人
司法書士 勝 猛一