株式上場について⑨J-SOX(内部統制)法の整備ですべきこと

掲載日 : 2014年1月14日

上場準備会社でよく質問を受けるのですが、J-SOX法の整備に向けて何をすればいいのか戸惑っている方も多くおられます。
監査役監査や内部監査では、特別に書面を用意する必要はなく、監査役や内部監査人のヒアリングを受けることで終了することが大半です。
参考→株式上場について⑧J-SOX(内部統制)とは

しかし、J-SOX法では会社の内部統制が適切に整備され、運用されていることを評価しなければならず、またその証跡を残す必要がありますので、多くの書類を作成しなければなりません。

内部統制の評価には、全社的な観点から行う内部統制の評価と、各業務が適切に行われているかという観点からの業務プロセスレベルの内部統制の評価があります。

全社的な内部統制の評価
全社的な観点から評価を実施し、評価記述書として文書化します。

業務プロセスに係る内部統制の評価
1)3点セットの作成
業務プロセスに係る内部統制の評価は、各業務プロセスに内在するリスクを洗い出し、そのリスクを低減するための内部統制(コントロール)が適切に機能しているかどうかを評価する必要があります。業務の流れを整理し、リスクを洗い出してコントロールを整理するために、いわゆる3点セットが必要となります。

業務記述書 各業務プロセスに係る手順書
フローチャート 各業務プロセスの流れを図で示したもの
RCM
(リスクコントロールマトリクス)
各業務プロセスにおけるリスクとリスクに対応するコントロールを一覧にした表のこと

 

業務プロセスの評価を実施するにあたっては、まずは上記の書類を作成します。
これらは例示であるため、必ずしも一から作成しなければならないわけではなく、上記書類に代替できるものが既に会社で作成されているのであれば、それを利用することも考えられます。

2)整備状況の評価
業務記述書、フローチャート、RCMを参考に、まずは整備状況の評価を実施します。整備状況の評価とは、各リスクを低減するために設けられた内部統制(コントロール)が機能しているかどうかを確かめ文書化することです。つまり、適切にデザインされているかどうかを確認する時点的な評価であり、継続的に運用されているかどうかを確かめる運用状況の評価とは異なります。

3)運用状況の評価
整備状況で評価された各統制が1年間にわたり継続的に運用されているかどうかを確認します。1年間で実施されている各統制について、数十件サンプル調査を実施して、確認した作業を文書化します。

基本的には、以上の流れで行いますが、業務プロセスには販売や購買等の基幹業務に係る業務プロセスだけではなく、決算財務報告に係る内部統制の評価があり、またITに係る内部統制についてはIT全社統制、IT全般統制、IT業務処理統制として評価しなければならないなど、非常に多くの文書を作成することとなります。

以上のように、J-SOX法の準備にはかなりの手間と時間を要しますので、効率的に進めるためには専門家に相談することが近道といえるでしょう。

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【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪