株式上場について⑦会計に関する事項

掲載日 : 2014年1月12日

非上場会社では、一般的に税務基準に沿った会計処理がなされています。
しかし、上場会社では、会社法、金融商品取引法に沿った会計処理が求められることになるため、会計処理を変更しなければならないケースが多く見られます。また、子会社を抱える会社の場合には、連結決算が求められるため、親会社と同一の会計処理をするように各子会社に指導を行う必要もでてきます。

会計処理に関する事項
これまで、上場準備に関わった案件において、一般に公正妥当と認められる会計基準に変更した際に見られた多い変更項目は以下となりますのでご参考ください。

  • 有価証券の時価評価
  • 固定資産の減損会計
  • リース取引の処理
  • 税効果会計
  • 資産除去債務
  • 賞与引当金
  • 退職給付引当金
  • 役員退職慰労引当金
  • 未払金の計上
  • デリバティブ取引の処理

包括利益計算書とキャッシュ・フロー計算書
非上場会社の財務諸表の体系は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表となっていますが、上場会社においては、これらに加えて包括利益計算書とキャッシュ・フロー計算書を作成する必要があります。キャッシュ・フロー計算書はもうおなじみかと思いますが、包括利益計算書の方はまだあまりなじみがない方もおられるかと思いますので、もう少しご説明いたします。

包括利益とは、純資産の変動額のうち、企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいいます。すなわち、資本金、準備金、剰余金等の資本取引による変動額を除いたものが包括利益です。
包括利益の構成要素は、当期純利益とその他の包括利益であり、その他の包括利益には、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定、持分法適用会社に対する持分相当額が含まれます。
当期純利益が、一会計期間に実現した利益を表す利益概念ですが、包括利益は資産・負債アプローチのもとで純資産の変動額を基礎とした利益概念です。投資家の意思決定情報として、公正価値評価により純資産を算定することを目的としています。

連結決算体制の整備
連結財務諸表は、年度の決算以外にも四半期毎、場合によっては月次で作成されるケースもあります。一般的に、連結財務諸表の作成にあたっては、以下の準備が必要となります。

  • 連結範囲の検討
    どの会社が子会社に該当し、どの会社が持分法適用会社に該当するのかを決定する必要があります。子会社に該当した場合には、原則としてすべて連結の範囲に含める必要があります。また、子会社の判定には、単に持株数で判断されるのではなく、実質的に支配しているかで判断されますので注意が必要です。
  • 会計方針や勘定科目の統一
    親会社と子会社が採用する会計処理基準は原則として統一しなければなりません。また、製造原価と販管費の区別、勘定科目の使い方など勘定科目処理要領も統一しておく必要があります。
  • 連結パッケージの検討
     連結財務諸表は、各社の個別財務諸表を基礎として作成されますが、連結仕訳のためには財務諸表の数値以外の情報も必要となります。必要な情報を漏れなくすべての連結子会社から集めるためには、必要な情報を記載する標準的なフォーマットを定める必要があります。子会社が少ない場合には表計算ソフトで管理することも可能ですが、多数になってくると、連結パッケージの導入を検討することも必要となります。

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【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪