株式上場について⑥組織管理体制の整備

掲載日 : 2014年1月10日

昨今、コーポレートガバナンスの重要性が増しています。
コーポレートガバナンスとは、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的に捉え、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営のしくみのことをいいます。
また、一方では、会社規模が大きくなってくると業務量が多くなり、これまでオーナーが1人で判断していたことも権限委譲をせざるを得ず、組織的な経営にシフトする必要がでてきます。

上場審査では、これらコーポレートガバナンスの目的を達成するため、またオーナーに頼らない組織的な会社運営を実現するため、会社の組織管理体制の整備が求められることになります。

会社法上の機関
会社法上の機関には、株主総会、取締役会、監査役会があげられます。これらは、以下のように上場に向けて実質的な運営が必要となります。

①株主総会
非上場会社では、株主総会が行われない、もしくは行われてもいわゆる「しゃんしゃん総会」で終了しているケースが多く見られます。上場に備え、不特定多数の株主が参加することを予定し、決議事項、報告事項の整理、想定問答集の作成、招集通知の発送等、本格的な株主総会開催に向けての準備が必要となります。

②取締役会
会社法上、取締役会は3ヶ月に1回の開催が求められます。しかし、上場会社では月次決算の報告を実施すること、タイムリーな経営意思決定が必要となること等の理由から、毎月、取締役会が開催されています。また、取締役会議事録は毎回作成し、本店に10年間備え置く必要があります。

③監査役会
非上場会社では、通常監査役は1名です。しかし、上場会社では通常会社法上の大会社に該当するため、監査機能の充実強化の観点から、3名以上(常勤1名以上、半数以上の社外監査役)の監査役が監査役会を組織することが義務づけられています。また、上場審査上は、監査の独立性の観点から、役員のご親族や顧問税理士など利害関係が生じる可能性のある方は監査役に就任できないこととなっていますのでご留意ください。

職務権限の委譲と適切な職務分掌
企業規模の拡大に伴って、組織で会社運営をすることになりますが、その際には、各人の職務範囲と職務権限を明確にしておく必要があります。これは、各人が責任を持って職務にあたること、また組織運営が有効に機能することを目的としています。

上場審査上、特に問題となるのは、個人の兼務関係です。例えば、営業部長と経理部長を兼務する、もしくは管理担当取締役が経理部長と経理課長を兼務するなど、広範囲な兼務は許されません。職務権限規程、職務分掌規程を作成し、また決裁権限規定や稟議規程を整備して、組織的な運営ができる体制づくりが必要です。

諸規程の整備
上場企業では一般に以下のような規程が整備されています。株式上場にあたっては、経営管理体制の整備状況の一環として規程の整備・運用状況が審査され、少なくも1年程度の運用実績が求められます。

内部監査制度
内部監査制度は、権限委譲された社員および部署が定められた職務を規程等に沿って適切に運営しているか否かを第三者の立場からチェックする制度をいいます。すなわち、内部牽制を行い不正・誤謬を未然に防止するために、経営者に代わって社長直属の担当責任者が、各オペレーションが法令、社内規程等に準拠して遂行され、効果的かつ効率的な経営が行われているか否かをチェックして、業務改善に資する情報を経営者にフィードバックする制度です。

内部監査制度の構築は必須であり、上場審査上は少なくとも上場直前期の一定期間の運用実績が必要とされます。

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【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪