株式上場について④業務管理体制の整備(1)

掲載日 : 2014年1月7日

会社の成長期においては営業活動に主眼が置かれ、管理的な側面は重視されない傾向があります。
しかしながら、業務管理体制は会社の事業活動を支える仕組みとして成長の基盤となるものであり、整備の遅れは収益機会を逃す原因となるばかりでなく、思いもかけない不正や誤謬を誘発することにもつながります。さらに上場を目指す会社ともなると、複数の従業員により効果的かつ効率的に会社運営がされることが求められます。

一般的に会社の業務管理体制の整備は販売管理、購買管理、在庫管理、固定資産管理、人事労務管理等に区分して整備されます。いずれも短時間で整備できるものではないため、早期に課題を洗い出して計画的に整備を実施していく必要があります。

販売管理体制の整備

一般に販売管理プロセスは、与信管理、受注、出荷、売上計上、請求、代金回収、債権管理という各サブプロセスに区分され、以下のような点に留意する必要があります。

  • 新規取引先及び既存取引先について与信管理ができているか
  • 受注管理(商品名、単価、数量、期限、販売条件等)ができているか
  • 出荷の手続きが適切であり、売上計上の手続きと連動し、適切なタイミングで売上計上ができる体制が確立されているか
  • 漏れや重複なく請求手続・代金回収が行われ、適時に売上債権の消し込みが実施されているか
  • 売上債権の年齢を把握し、滞留債権に対して適切な処置及び会計処理が行われているか

購買管理体制の整備

一般に購買管理プロセスは、仕入先管理、発注、検収、仕入計上、請求書管理、代金支払、債務管理という各サブプロセスに区分され、以下のような点に留意する必要があります。

  • 発注先の信用状況、仕入材の品質等について管理ができているか
  • 発注管理(商品名、単価、数量、期限、購買条件等)ができているか
  • 検収の手続きが適切であり、仕入計上の手続きと連動し、適切なタイミングで仕入計上ができる体制が確立されているか
  • 漏れや重複なく請求書処理・代金支払が行われ、適切に仕入債務の消し込みが実施されているか
  • 常に仕入債務を把握して、資金繰りに反映しているか

在庫管理体制の整備

在庫管理プロセスは、販売管理や購買管理に密接に関連するだけでなく、在庫水準の多寡により会社の資金繰りにも大きく影響を与える重要なプロセスです。一般的には、受払管理、保管、実地棚卸、評価という各サブプロセスに区分され、以下のような点に留意する必要があります。

  • 継続的に在庫の受払記録なされているか
  • 在庫の受払記録は数量だけでなく単価も考慮し、金額ベースで残高が把握できているか
  • 在庫の保管状況は良好か、紛失や盗難防止に努める状況になっているか
  • 実地棚卸は、カウントミスやカウント漏れ等がなく適切に実施されているか
  • 不良在庫や陳腐化在庫を適時に把握できるシステムが構築され、適切に在庫評価がなされているか

在庫管理、人事労務管理等、他の業務管理体制については次回のコラムで紹介いたします。

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【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪