株式上場について②スケジュールと実質審査基準

掲載日 : 2014年1月3日

上場準備を進める上でスケジュールを作成することは非常に重要になってきます。上場準備には非常に時間とコストがかかりますので、効率よく進めなければ間延びしてしまい、上場のタイミングを逸してしまうことにもなりかねません。

上場に向けての基本的なスケジュール
「事業が拡大してきたので、資金調達をしたいこともあり、そろそろ上場を考えています。来年あたり上場したいのですが…」。会社から上場したいという相談を受けて、よくこういうお話を耳にします。結論から申し上げまして来年に上場はできません。
まず問題となるのは監査法人の監査です。上場するためには、2期間の財務諸表について監査法人から監査証明を受ける必要があります。
次に、内部管理体制等に関して証券会社や取引所の審査があります。少なくとも上場企業に値する管理体制での1年間の運用実績が求められます。すなわち、直前期を1年間の運用実績としなければならないことから、直前々期が終了するまでに問題点を把握して改善していく必要があります。

このように少なくとも2年間は上場準備に必要な期間となりますので、3年以上前から余裕をもって準備期間に入ることが望ましいと言えます。上場を考え始めたら、直ちに専門家に相談していただくのが良いでしょう。

実質審査基準の内容
前回、株式上場審査における形式基準を紹介しましたが、実質基準としては以下の基準をクリアしなければなりません。

①企業の継続性及び収益性
→継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること
会社が上場後も安定的に継続して事業を営むことが可能であり、将来の見通しが良好であることが求められます。すなわち、会社が作成する事業計画が合理的であり、また実行可能であることが必要となります。

②企業経営の健全性
→事業を公正かつ忠実に遂行していること
上場会社は、事業を公正かつ忠実に遂行しなければなりません。そのため、特定の者に対して不当に利益を供与することは認められません。特にオーナーや役員、またその親族やグループ会社との取引は、特別に有利な条件で取引がされていないか、厳格に審査されることになります。

③企業のコーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性
→コーポレートガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること
上場後に重大な法令違反がないようにするため、役員の適正な職務執行の確保や経営活動に有効な内部管理体制の構築、法令順守のための体制作り、それらを可能にする人員の確保等が求められます。

④企業内容等の開示の適正性
→企業内容等の開示を適切に行うことができる状況にあること
上場前と上場後とで大きく変わるのがこの企業内容開示義務です。有価証券報告書や四半期報告書、決算短信だけでなく、特定の事象が生じた場合にはプレスリリースを実施し、継続的に投資家に対して情報開示しなければなりません。そのため、適時に適切な企業内容開示を実施できる体制づくりが必要となります。

⑤その他公益又は投資家保護の観点から取引所が必要と認める事項
→投資家保護の観点から例えば以下の項目が挙げられます。
・株主の権利が不当に制限されていないこと
・経営活動や業績に重大な影響を与える係争事件を抱えていないこと
・反社会的勢力による関与を防止する体制が整備され、その関与防止に努めていること

これら実質基準の審査では、その名のとおり会社の実質的な管理体制が求められることになり、いずれも短期間では整備できない内容です。計画的かつ効率的に実施するため、余裕をもって準備に入ることが必要です。

【関連コラム】
株式上場について①メリット・デメリットと形式審査基準
株式上場について③利益管理体制の整備と留意点
株式上場について④業務管理体制の整備(1)
株式上場について⑤業務管理体制の整備(2)
株式上場について⑥組織管理体制の整備
株式上場について⑦会計に関する事項
株式上場について⑧J-SOX(内部統制)とは
株式上場について⑨J-SOX(内部統制)法の整備ですべきこと
株式上場について⑩特別利害関係者取引とは

【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪