個人再生手続とは?

掲載日 : 2012年10月23日

個人再生は,清算価値以上の弁済額(計画弁済額)を分割して支払っていく旨の再生計画を裁判所に認可してもらい,その再生計画に基づいて債務(借金)を減額してもらう民事再生手続の個人用簡易版といった感じの手続です。

計画弁済額は,債務総額が100万円以下の場合は全額,100万円を超え300万円以下の場合は100万円,500万円を超え1500万円以下の場合は債務額の1/5,1500万円を超え3000万円以下の場合は300万円,3000万円を超え5000万円以下の場合は債務額の1/10となります。清算価値がこれらの額よりも高い場合は,清算価値が計画弁済額となります。
この計画弁済額を原則として3年(特別の事情がある場合は5年まで延長可能)の分割で支払っていくことになります。債務総額が100万円以下の場合はメリットがないのでは?と思われる方もいるかもしれませんが,計画弁済額には今後の利息が加算されません。一旦弁済が滞るとすかさず20%を超える遅延利息を加算して請求してくる消費者金融業者がいる中で,今後の利息がカットできるのはメリットといえるでしょう。

無担保(住宅ローン等以外)の債務が5000万円を超える場合には利用できませんが,住宅ローンだけは原則としてもとの契約どおりに支払っていく旨の住宅資金特別条項(略して「住特条項」と呼ばれます。)を定めることによって,マイホームを手放すことなく借金を減額してもらうことができます。

また,破産手続が開始してしまうと,会社役員,生命保険募集人や警備員等には就業できなくなってしまいますが,個人再生にはその心配がありません。車を担保に入れていなかった場合にはそのまま乗り続けることも可能です。

今後3~5年間は継続的な収入の見込があるものの,このままでは自己破産しなければならないおそれがあるが,借金を一部返済し続けてでも上記のような手続上のメリットを受けたい場合に手続申立てを検討することになります。

個人再生手続には,小規模個人再生と給与所得者等再生の2つの手続のどちらを選択するか,清算価値の算定方法,住特条項を定めることができる「自己の居住の用に供する建物」の要件,住宅ローンを長期にわたって滞納して保証人に代位取得されてしまった場合の「巻戻し」等,書籍やネット上の情報を部分的に調べただけでは簡単に理解できない実務上のノウハウもたくさんあります。

個人再生手続の申立を検討する段階であるということは,「自己破産のおそれ」がある状態でもあるということです。よく分からないまま放置して自己破産するしかない状態になってしまう前に,早めに専門家に相談し,アドバイスを受けて申立の準備をする必要があります。

【コラム執筆者】
弁護士法人SOLA法律事務所
弁護士 横尾 和也