借金を整理したい~任意整理(私的整理)

掲載日 : 2012年10月15日

任意整理とは
「任意整理(私的整理)」というのは、法律用語ではなく、借金を整理する1つの方法として、「債権者と個別に交渉をして返済条件(元金の額や分割弁済の期間や額)を変更してもらうこと」をいいます。

法的手続である「自己破産」や「個人再生」とは異なり、公的機関の関与がないことから「任意整理」と呼ばれるようになったのだと思われます。

任意整理の進み方
弁護士が任意整理交渉を引き受けた場合、まずは貸金業者に対して、これまでの取引履歴の開示を求めます。弁護士からの受任通知によって、債権者(貸金業者)から債務者への連絡はストップしますので、取り立てに悩まされているような方にとっては、それだけでも任意整理の意義があるといえるかもしれません。

弁護士は、開示を受けた取引履歴をもとに、「利息制限法による引き直し計算」を行います。利息制限法では、貸金の利息は年間で15~20%(借入額に応じます)と決められていますが、以前は、出資法で刑事罰が科される上限金利が29.2%だったこととの関係で、年利20%以上の利息をとる業者が多数ありました。
しかし、貸付を受けたときの契約で「25%の利息を払う」と約束していたとしても、利息制限法で「20%を超える部分の利息契約は無効」になります。そうすると、引き直し計算によって、利息として支払っていた「5%部分(正確には借入額に応じて5%から変動しますが…)」を元金の支払に充当した結果、残っているはずの債務がなくなっていたり、逆に業者に支払い過ぎていて「過払い金」が発生していたりするようなこともあります。

過払い金が発生している場合、貸金業者に対して「過払い金返還請求」をします。
利息制限法による引き直し計算をしても、まだ債務が残る場合には、その、引き直し後の残元金についての返済条件を交渉することになります。

以前は、貸金業者の側にも余裕があったため、過払い金を請求すればすぐに全額を返還してくれましたが、近年は、相次ぐ過払い金返還請求を受けて経営難に陥っている貸金業者が多く、全額をすぐに返還してくれる業者はなくなりました。
弁護士は、債務者(過払い金については債権者ですね)の意向を聞きながら、業者の懇願による減額に応じて早期解決を図ることもありますし、訴訟を提起して全額を回収することもあります。今は、訴訟をしないと、全額を回収することは困難な印象です。

逆にこちらに債務が残っている場合には、「一括で払うから、元金の7割に減額してほしい」「元金に利息をつけずに、5年間60回の分割払いで支払いたい」等の交渉をします。

これも以前は、一括返済をすれば元金カットの恩恵を受けられることも多かったのですが、最近は、元本の減額に応じる業者はほとんどなくなったように思います。また、以前は、和解時に決めた元本額を3年(36回)ないし5年(60回)の分割払いにして支払うだけで、利息はつけられなかったのですが、今は、任意整理で和解が成立しても、利息を支払わされることも多くなりました。

任意整理に適する方・適さない方
このように、今は貸金業者側に余裕がないため、任意整理交渉で大きな効果が上がりにくくなっているという印象です。

そのため、相当以前から、つまり年利20%以上の契約で借入をしていて長期間取引のあった方であれば、利息制限法による引き直しで、現在の債務額が大きく減額されたり、過払い金が発生していたりする可能性があるので、任意整理をしてみることはおススメです。そのほか、債務総額が比較的低額の方にも、任意整理はそれなりに有効だと思われます。

しかしながら、契約をした時点ですでに利息制限法内の利息契約である方は、利息制限法の引き直しで債務額が変わることはありません。また、多額の債務を負っている方も、元金カットが得られにくい状況ですので、任意整理をすることであまり大きなメリットはないといえます。

その場合は、自己破産や個人再生等の別の手続に移行するかどうかを考えていくことになります。

【コラム執筆者】
フォーゲル綜合法律事務所 堺事務所
弁護士 藤田 さえ子