離婚における住宅ローンの返済のリスク

掲載日 : 2012年10月12日

残念なことに、何かの原因で離婚をすることを決めたとき、結婚してから形成された財産については、「夫婦の共有財産」ですので、預金にしても、他のものにしても、名義がどちらのものであるかにかかわらず、基本的には2分の1ずつ折半して夫・妻のそれぞれが取得することになります。
これを「財産分与」といいます。

そのとき、よく問題となるのが、住宅ローンで購入した不動産です。
一般的には夫が住宅ローンでお金を借りて、夫の名義で不動産を購入し、離婚をする時点ではまだ返済が終わっていないことが多いでしょう。
こういう時に、妻の側では「子どもを転校させたくないから、家にはそのまま住み続けたい。住宅ローンは夫に払ってほしい。」と希望する方も多いでしょう。

夫が養育費の代わりに、と住宅ローンを払い続けてくれて、妻の側の希望が叶うこともありますが、離婚後の妻子にそれだけのことを続けてくれる夫はごく少数であり、それを期待した離婚後の人生設計はお勧めできません。
いくら夫から「養育費の代わりに住宅ローンを払う。」という約束を取り付けていても、なにかの事情が変わって夫が住宅ローンを支払わなくなったときには、銀行から督促状が届き、最終的には強制競売にかかって家を明け渡さなくてはならなくなります。

妻の側の収入だけで住宅ローンの返済をすることが可能である場合には、不動産を所有し続けることもありますが、逆に妻が支払うと約束していても、妻が支払えない状態になって不動産が強制競売にかかることもあります。
そうしたら、不動産が競売で売却されても債務が残る場合には(多くの場合は残ります)、夫の側は、突如として数百万円というような残債務を一括して支払わなくてはならなくなります。
つまり、夫の場合も不安定な立場におかれたままになります。

このようなことから、住宅ローンが多く残った不動産を売却せずに持ち続けることは、夫・妻のいずれにとっても不安定な要素が多く残されることになるため、あまりお勧めできません。
離婚の際、仮に債務が残ったとしても売却等をしてしまうほうが、その後の将来の見通しを正しく持てるのではないかと考えています。

【コラム執筆者】
フォーゲル綜合法律事務所 堺事務所
弁護士 藤田 さえ子