土壌汚染コラム①見えないリスク

掲載日 : 2012年10月10日

南海トラフ地震のニュースが一時騒がれていましたが、土地を売却したい方にとって、その土地の地盤や活断層に当たるか否かで大きく価値が変わりますので気になるところですね。
こうした地盤や活断層のような目に見えない土地のリスクは、不動産の売買上、主に3つある、と言われています。
それは、1に地震、2に埋蔵文化財の有無、最後が土壌汚染の有無です。

不動産の売買は金額が大きいだけに、契約成立後に想定外の問題でトラブルになるのは売り手さん、買い手さんともに避けたいところです。
そこで、これらの目に見えないリスクをどう「見える化」していくかがお取引の上で重要になります。

地震や埋蔵文化財については、各担当行政で活断層や液状化マップ、遺跡地図等を閲覧する等で確認することになりますが、土壌汚染に関して行政で確認できることは、その土地において操業している(あるいは過去にしていた)施設において有害物質を使用している(あるいはしていた)という届け出が出ているか(あるいは出ていたか)ということのみです。
明らかに有害物質を使用していた記録がある場合は調査の義務が生じるため、土地の所有者さん(土地の「使用者」さんではないところがポイントです)は必ず調査をしなければなりませんし、調査の結果、使用していた物質が土壌汚染対策法に定められた基準値を超過していても納得の結果なのですが、工場が建っていたことがないような土地でも、調査をしてみると汚染があるかもしれないのが土壌汚染の怖いところです。

たとえば、過去にその土地に薬品を使用する工場がなかったとしても、家やビルを建てる際の盛土等が原因で有害物質が検出されることがあります。
また、川・海の近くや、鉱山の近くだと、川・海の水の成分や山自体の持つ土質が原因で特定の物質が土壌汚染対策法の基準値を超過することもあります。
平成15年に土壌汚染対策法が施行されて以降、いろんな土地を調査させていただきましたが、「絶対大丈夫と言える土地はない」と申し上げても過言ではありません。

土壌汚染の調査には、先に触れたように法律や各都道府県や市町村で定められた条例による調査と、売買に伴いリスクを「見える化」するための任意調査とがあります。
法や条例による調査の場合には行政の指導が入るため調査の方法は決まっていますが、任意調査の場合には様々なやり方がありますので、調査会社にいろいろなバージョンを提案してもらい、何のリスクを見るためにどのような調査をするかを売り手さん、買い手さんともに納得するかたちで行うことが大切ですし、調査をする以上、何らかの汚染物質が超過してしまう可能性がゼロではなくなりますので、調査代金、汚染土の浄化代金等、土壌汚染にまつわる金額と浄化まで終了する期間が最大どれくらいかかるのかを最初に把握していることが重要です。

【コラム執筆者】
株式会社 三協エンジニア
土壌汚染調査技術管理者 稲垣優子

事務所HP :
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