不動産×事業承継=分社化?

掲載日 : 2012年9月24日

こんにちは奥村聡です。
私は事業承継や廃業など、主に『社長退任の場面』で暗躍しているコンサルタントです。
今回は、株式会社ワイワイ物流(仮称ですよ!)から受けた事業承継の相談についてご紹介しましょう。

ワイワイ物流の社長は、自分の次男を会社の後継者にしていいのか悩んでいました。本音の部分では、経営者としての手腕を信頼できていなかったのです。まだ若く、実績もありません。
もう一人の候補者として、長年自分を支えてきてくれた経営幹部がいました。こちらは、血縁はなくても実績があります。

会社のためにはこの経営幹部を次期社長に指名するのが良さそうですが、それが難しい事情があったのです。
事情というのは、会社が「不動産を持ち過ぎていた」ということです。

本業で使っている倉庫に加え、収益目的の賃貸アパートやオフィスビルまで所有していました。
一方の負債は、銀行からの借り入れが少し残っているだけです。
ということは、資産が多くて負債が少ないために、会社の価値が高くなっています。

会社の価値が高いということは、株式の値段が高くなり、後継者となる親族外の人間は、株式を手に入れるために多額の資金を用意する必要があります。相続で株式を入手することはできませんからね。
しかし、この経営幹部にはそんな財力がありません。これまで雇われの身だったのだから、当然といえば当然です。
また、その財力の乏しさがネックとなり、個人保証人の切り替えで銀行に難色を示される可能性も高いところでしょう。

困りました。どんな手を打てばいいでしょうか?

「だったら、分けてしまえばどうですか?」
これが、私からの提案でした。
会社分割という分社化の手法を使い、会社を「不動産などの資産を保有・管理する会社」と、「本業の物流事業を行う会社」の2つに分けてしまおうという提案です。

分社後、物流事業を行う会社は不動産を持たなくなるので株式の価格はグッと安くなります。経営幹部は無理なく株式を手に入れることができるようになるでしょう。

もう一社の、不動産などの資産を保有する会社は、いわば、社長が築いた資産を守ることを目的とする会社です。ならば、社長の親族が後継者となるにふさわしいということで、次男を次期社長とすることにしました。

このように分社化を工夫して使うことで、きれいに問題を解決できる場合があるものです。

【コラム執筆者】
アローズ・リーガル・サービス
司法書士 奥村聡