抵当権とは②抵当権の順位と設定登記

掲載日 : 2016年1月3日

抵当権設定契約は書面だけでも効力がありますが、通常は「抵当権設定登記」を行います。

登記が必要となる理由の一つには「取引の安全」があります。
抵当権を設定しても債務者はこれまで通り不動産を使用できるため、その不動産に抵当権が設定されているか否かは物件を見ただけでは明らかにはなりません。そこで、登記を行って第三者にも公示することにより取引の安全を図っています。
その他、以下の理由により抵当権設定の登記が必要と言えるでしょう。

抵当権設定登記間の順位により実質優先債権となれる
住宅ローンなどで債権者Aが最初に抵当権を設定したとします。
その後、その不動産の担保価値にまだ余裕があると判断されると、債権者Bや債権者Cが同じ不動産を担保に資金を貸し付け、同一不動産に複数の抵当権が設定される、ということがあります。
日本には、資金を貸し付けた時期に関係なく債権者はみんな平等に扱う、という民法の原則(債権者平等の原則)があります。
この原則によれば、債権者が複数存在し、貸付金額や時期が異なっても、債務者から返済してもらえる順番は全員同じ扱いをする、ということになります。
上記の例における最初の債権者(抵当権者)Aは、他に抵当権が付着しておらず担保価値が高いと判断し、多額を融資したとします。その後に抵当権者Bや抵当権者Cが現れても、抵当権者Aは彼らより自己を優先させて資金を回収する必要があります。しかし、債権者平等の原則に従うと、債務不履行が起こった場合、抵当権者Aが回収できる資金の額が少なくなる恐れがあるのです。
そこで、債権者Aは抵当権を設定する際、「1番」という順番を付けて法務局へ届けることにしています。これにより、債権者平等の原則の例外扱いがなされます。
上記の例では抵当権者Bは2番、抵当権者Cは3番、という順番で登記を行っていきます。

第三者への対抗:登記された抵当権と未登記抵当権
例えば、債権者Aが最初に抵当権を設定した後(1番抵当)、債権者Bが同じ不動産を担保に資金を貸し付けたとします。
この場合、1番抵当権者であるAが登記をしないまま、2番抵当権者Bが登記をすれば、Aは先に登記をした後順位の抵当権者Bに対応することができなくなります(返済の優先順位が劣る)。このため、抵当権を設定すれば、直ちに登記手続きを行う必要があるのです。

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【コラム執筆者】
IS司法書士法人/IS行政書士事務所
司法書士, 行政書士 脇田 直之