土地賃貸借(借地)契約の終了~解約と正当事由

掲載日 : 2015年11月15日

土地賃貸借における契約期間(借地期間)の満了にあたって賃貸人が契約の更新拒絶をするとき、または契約期間の途中で解約するためには、「正当事由」が必要となります。
借地借家法では正当事由が明確化されており、以下4つの判断基準があります。このうち、1が重点的に考慮され、2、3は参考として、また4は補完的に考慮されることが一般的です。

1 貸主と借主が土地の使用を必要とする事情

当事者双方には土地を必要とする理由がそれぞれあると思いますが、以下のような事項を勘案します。

  • 自分自身が必要としているのか、家族や第三者が必要としているのか
  • 土地を使用する目的は居住目的か事業目的か
    居住目的の場合、その他の場所に住居は無いのか。事業目的の場合、その場所でないと収益を上げることが難しいのか。
  • 土地の使用の必要性を裏付ける事情
    当事者の年齢や家族構成、その他の資産の有無、職業、収入、健康状態、代替物件の有無など

一般的に賃借人(借地人)による居住用としての使用が一番必要性としては高く認められるようです。その他、賃借人がその土地で長年にわたり店舗を営業しており、その地名と店舗の関連性が高く(○○町の△△屋)、他に土地を所有していない場合にも、賃借人による土地の必要性が高いと言えるでしょう。
対して、賃貸人が土地の有効利用のためにマンションを建設して収益を上げたいなどという理由では、自己使用の必要性が高いとは言えないでしょう。

2 借地に関する従前の経過

地代滞納などの信頼関係を破壊するような事情があったか、地代が周辺相場に比べて低いか、権利金などの支払いがあったかなども考慮されます。

  • 権利金などの支払いの有無
    権利金や更新料の支払いがあったか。
  • 賃貸借契約設定の経緯
    契約前に借主が不法に居座ったり、強引に契約を迫ったかなど。当事者は親戚・関係者などか。
  • 借地期間
    契約期間は長期にわたるか。
  • 地代の水準
    低額な地代のままで据え置かれているか。
  • その他
    地代の滞納はあるか。契約期間中に建物の再築がされた場合に賃貸人の承諾があったか。いやがらせ行為等はあるか。
3 土地の利用状況

借地上に存する建物の利用状況などについて勘案します。

  • 借地上の建物の存在
    建物は現存しているか。すなわち、建物の敷地として土地が現実に利用されているか。誰が建物を使用しているか。
  • 借地上の建物の種類など
    建物の構造・階数及び用途(居住用か事業用か)。契約締結時から現在までの利用状況。
  • 借地上の建物の老朽化の程度
    建物の建築年と経過年数。老朽化と残存耐用年数。
  • 諸法令との関連
    建築基準法などの諸法令に適合しているか。
  • 周辺の環境に合致した利用方法か
    例えば、都心部における高層ビルが建ち並ぶ商業地域にありながら、低層建物が建てられており、周辺の環境に合致していない場合など。ただし、地域の状況などは当事者の事情に直接関係するものではなく、独立の判断要素としては認められにくいでしょう。
4 立退料の支払いをする旨の申出

正当事由の判断要素として、上記で述べた事項の他、貸主が「財産上の給付」をする旨を申し出た場合、これを考慮して判断することになっています(借地借家法6条、28条)。
この財産上の給付の中に立退料が含まれる訳ですが、これはあくまでも補完的なものであり、常に必要とされる訳ではありません。貸主の正当事由が必ずしも十分といえない場合、借主が土地を明け渡す場合における不利益を金銭として保証するものであり、以下のような事項を勘案します。

  • 引越し費用
    借主が負担する移転費用の補償
  • 営業補償
    借主が失う利益の保証
  • 借地権価格

なお、補完的な性格であるため、立退料の額を多くしたからといって、正当事由が認められるとは限りません。

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【コラム執筆者】
佐々木・魚谷法律事務所
弁護士 魚谷 和世