個人事業の減価償却とは③定額法とは?定率法とは?

掲載日 : 2015年11月1日

個人事業における減価償却費の計算方法としては、定額法と定率法の2つがあります。
いずれを採用するかは資産によって選択することができますが、建物や無形固定資産については定額法のみと限定されています。
なお、償却方法が選べる資産について税務署に事前に届出をしていない場合には、法人は定率法、個人事業者は定額法を用いることとなります。

定額法とは
毎年、同額の減価償却費を費用として計上する方法。
建物や無形固定資産は定額法のみとなります。(建物は平成10年4月1日以降の取得に限る。)

その年の減価償却費=取得価額×定額法の償却率

定率法とは
当初の減価償却費が多く計上され、年が経過するごとに費用計上が減少していく方法。

その年の減価償却費(※1)=未償却残高(年初の帳簿価額)×定率法の償却率

※1:この額が一定の償却保証額を下回る年から「改定取得価額×改定償却率」により計算する。

計算が複雑になりますが、資産を取得してから早期のうちに償却が進むため、一般的には定率法の方が有利と考えられています。

定額法と定率法のメリットとデメリット
建物など一部の資産については定額法しか選択できないものの、原則として定額法か定率法かは選択することができます。
いずれを選択しても、法定耐用年数の終了後に残った未償却部分は同額になります。

両者の違いは、減価償却する度合い、すなわち費用化する度合いが異なることになります。
定率法は初年度から多額の減価償却費を計上することができますが、償却額は年々少なくなります。定額法は法定耐用年数のすべての期間について基本的には減価償却費が一定です。このため、初年度からしばらくは定率法の方が減価償却費は多くなりますが、ある時点から定額法の方が減価償却費は多くなります。

それぞれのメリット・デメリットをまとめると次のようになります。

定額法
メリット 定率法と比べ初期の減価償却費が小さいため、早期に利益を出したい場合に有利である
計算が単純であるため減価償却費の計算が容易である
デメリット 年数を経るとともに増加する修繕費に対して、減価償却費が一定であることから、資産の収益性が低下している時期において修繕費と減価償却費との合計額が大きくなってしまう
定率法
メリット 定額法と比べ初期の減価償却費が大きいため早期の資金回収や節税が可能である
年数を経るとともに増加する修繕費に対して、減価償却費が逓減することから、修繕費と減価償却費との合計額を平均化することができる
デメリット  定額法と比べ初期の減価償却費が大きいため利益を圧迫する可能性がある
計算が複雑であるため減価償却費の計算が煩雑である

【関連コラム】
個人事業の減価償却とは①法定耐用年数
個人事業の減価償却とは②少額減価償却資産・一括償却資産についての特例

【コラム執筆者】
遠藤あや税理士事務所
税理士 遠藤 亜耶