小規模宅地等の特例~自宅や事業の敷地の相続税評価~

掲載日 : 2015年9月8日

相続税の計算をするにあたり、不動産は相続税法独自の方法で計算することになります。

被相続人の自宅の敷地や事業用の敷地については、配偶者や同居の子供が相続する場合、その評価には大幅な減額が認められており、この制度を小規模宅地等の特例といいます。

相続税の納税のためにこれらの不動産を売却するようなことになると、居住や事業の継続が困難になるため相続人の生活基盤の維持を趣旨にこの特例が創設されました。

ただし、この特例を適用するためには一定の要件を満たす必要があり、また相続税の申告期限までに分割されていない宅地等については適用ができないため財産の分け方をめぐって揉めないようにすることも重要なポイントです。

    相続税評価の
減額割合
対象面積
居住用の宅地 特定居住用宅地等 ▲80% 330㎡
事業の宅地  特定事業用宅地等 ▲80% 400㎡
特定同族会社事業用宅地等 ▲80% 400㎡
貸付事業用宅地等 ▲50% 200㎡

特定居住用宅地等の要件
相続開始の直前において、被相続人等が居住していた宅地等が対象となります。

  • 被相続人の配偶者が相続する場合
    無条件で特例が適用されます。
  • 同居している親族が相続する場合
    相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続き居住し、かつ、相続税の申告期限までその宅地を所有していること。
  • 同居していない親族が相続する場合
    下記の要件を全て満たし、申告期限までその宅地を所有している場合に適用されます。
    ・相続開始時に被相続人若しくは相続人が日本国内に住所を有していること、又は相続人が日本国内に住所を有しない場合で日本国籍を有していること
    ・被相続人に配偶者がおらず、その家屋に同居していた法定相続人がいないこと
    ・相続開始前3年以内に、日本国内にある自分名義(またはその配偶者名義)の家屋(相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと(所有していても相続開始前3年以内に居住していなければ適用可能)
  • 相続人と生計を一にしていた親族が相続する場合
    相続開始の直前から申告期限まで引き続き居住し、かつ、相続税の申告期限まで所有していること。

特定事業用宅地等の要件
相続開始の直前において事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場及び準事業を除く)の用に供されていた宅地等が対象となります。

  • 被相続人が事業を行っていた場合
    その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、相続税の申告期限までその事業を営んでおり、相続税の申告期限まで所有していること
  • 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族が事業を行っていた場合
    相続開始の直前から相続税の申告期限までその宅地等の上で事業を営んでおり、相続税の申告期限までその宅地等を所有していること
  • 特定同族会社事業用宅地等の要件
    相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場及び準事業を除く)の用に供されていた宅地等で下記の要件を満たすものが対象となります。

    なお、一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等がその法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除く)をいいます。

    • 相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15項に規定する役員)であること
    • その宅地等を相続税の申告期限まで所有していること
    • 貸付事業用宅地等の要件
      相続開始の直前において不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場及び準事業の用に供されていた宅地等が対象となります。

      • 被相続人が貸付事業を行っていた場合
        事業を申告期限までに承継し、かつ、相続税の申告期限までその事業を営んでおり、かつ、相続税の申告期限まで所有していること
      • 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族が貸付事業を行っていた場合
        相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で貸付事業の用に供しており、かつ、相続税の申告期限まで所有していること
      • 相続財産に土地があった場合、このような減額の特例があります。
        建物については、このような特例は無く、評価の方法は固定資産税評価額をそのまま使います(自用家屋の場合)。

        【コラム執筆者】
        遠藤あや税理士事務所
        税理士 遠藤 亜耶