土地の賃貸借契約(借地契約)と更新料

掲載日 : 2015年9月2日

更新料とは
土地の賃貸借契約(借地契約)の期間が満了し、その契約を更新する場合、賃借人(借地人)から賃貸人(地主)に支払う一時金を更新料といいます。

都心部における借地契約では、当事者間の協議により、契約の更新をする際、更新の対価としての更新料が支払われることが少なくありません。

更新料が授受される背景
1) 賃貸人(地主)側
法律上、借地権は厚く保護されており、正当事由がなければ契約期間が満了しても契約が更新されてしまうことから、一旦賃貸借契約を締結してしまうと賃貸人(地主)側の意向だけで契約関係を解消することはできません。また、土地の賃貸借契約期間は長期であることから、契約当時は適正水準に合致していた地代が、時の経過で不適正になっていることも少なくありません。そこで、賃貸人(地主)としては、何らかの形で、地代不足分等の損害を補填しようと考えるのが自然です。

2)賃借人(借地人)側
借地上の建物の譲渡、借地条件の変更、建物の増改築をする場合、賃貸人の承諾が必要となります。こうした承諾を得るために、建物譲渡承諾料や増改築承諾料といった一時金が授受される場合もありますが、これに加えて、賃貸人(地主)との円満な関係の維持のために更新料を支払うこともありうるでしょう。

更新料支払義務と法律
更新料について、旧借地法や借地借家法における定めはありません。
借地契約の期間が満了した場合、建物が存続しているのであれば、賃貸人(地主)に正当な事由がない限り、借地契約は同じ条件で法定更新されます(旧借地法4条、6条。借地借家法5条)。

また、更新料の支払に関する慣習や慣習法はなく、賃貸人(地主)に更新料の支払いを求める権利は当然には認められないとするのが裁判例の傾向といえます。

このため、更新料支払いの合意がない場合、賃貸人(地主)から更新料を請求されたとしても、賃借人(借地人)はこれを拒むことができます。

更新料支払い合意の有効性
では、更新料支払い合意がある場合、賃借人(借地人)は、必ず更新料を支払う義務があると言えるのでしょうか。

この点については、建物の賃貸借契約における更新料支払い合意に関して多数の裁判例があり、更新料支払い合意を有効とする裁判例と、更新料支払い合意は、建物の賃借人に不利なものである(借地借家法30条参照)、または消費者の利益を一方的に害するものである(消費者契約法10条参照)という理由で無効とする裁判例に二分されていました。

そこで、最高裁判所は、平成23年7月15日判決において、更新料の合意が賃貸借契約書に分かりやすく具体的に記載され、かつ、更新料の額が賃料の額や更新期間等に照らして高額過ぎる等の特別な事情がなければ、更新料支払い合意は有効であるとの判断をし、これが建物の賃貸借契約における更新料支払い合意に関する判例となっています(なお、本件では、更新料の額は賃料の2ヶ月分、更新期間は1年間であり、高額過ぎる等の特別な事情はないと判断されています)。

この判例は、土地の賃貸借契約における更新料支払い合意に関するものではありませんので、土地の賃貸借契約における更新料支払い合意に関する今後の裁判例に留意する必要はありますが、いずれも不動産賃貸借契約における更新料の効力に関する問題という共通点がありますので、十分参考になるものと言えるでしょう。
したがって、土地の賃貸借契約に関する更新料支払いの合意についても、更新料の合意が賃貸借契約書に分かりやすく具体的に記載され、かつ、更新料の額が賃料の額や更新期間等に照らして高額過ぎる等の特別な事情がなければ、更新料支払い合意は有効であると考えられます。

【コラム執筆者】
きっかわ法律事務所
弁護士 浜本 光浩