土地の賃貸借(借地)契約~建物の滅失と再築②更新後

掲載日 : 2015年8月25日

旧借地法・借地借家法とも借地期間中に建物が滅失しても借地権は消滅することはありません。
このため、建物滅失後に別の建物を再築することは可能ですが、建物の耐用年数と土地賃貸借(借地)契約の残存期間の関係が問題となります。

そこで、滅失後における建物の再築の要件に関し、借地借家法は以下2つの時期に応じて異なる規定を定めています。
①借地権設定当初の存続期間内の再築
②更新後の再築
※旧借地法は①と②で同じ取り扱いをします。

更新後の存続期間における建物滅失と再築について検証しましょう。

旧借地法
最初の期間中であっても、更新後の期間中であっても、建物滅失における再築についての取扱いは同じです。
借地契約の残存期間を超える建物を再築した場合、賃貸人が直ちに異議を述べない限り、建物滅失の日から起算して、堅固建物は30年、非堅固建物は20年の新たな借地期間が認められることになります。

借地借家法
1)賃借人の契約解約の申し入れ
更新後に建物が滅失した場合、賃借人から借地契約の解約の申し入れをすることができます(借地借家法8条1項)。
例えば、多額の資金を投下して建物を再築したとしても、費用対効果の観点から、今後の地代の支払い義務を無くした方が良いと賃借人が判断すれば、建物が滅失した時点で契約を解約の申し入れも考えられるでしょう。
この申し入れの3か月後に借地権は消滅することになります(借地借家法8条3項)。

2)残存期間を超える建物の再築
賃貸人の承諾が必要となります。
賃貸人の承諾を得て、建物が再築された場合、最初の存続期間中における建物の滅失と再築の場合と同じく、原則として20年の借地期間の存続が認められることになります。

3)賃貸人の承諾がない再築
賃貸人の承諾がないにもかかわらず、賃借人が建物を再築した場合、賃貸人は借地契約を解除することができます(借地借家法8条2項)。この場合、賃貸人が契約を解約するために正当事由は必要とされません。
賃貸人が契約の解約申し入れの意志表示をしたときから3か月後に借地契約は終了します。
なお、この場合、賃借人に建物買取請求権は認められていません(借地借家法13条1項)。

4)裁判所の代諾許可
賃借人が建物を再築することにやむを得ない理由があることも想定されます。それにもかかわらず、賃貸人が再築を承諾しない場合においては、賃借人は裁判所に賃貸人の承諾に代わる許可を求め、申立てをすることができます(借地借家法18条1項)。
もちろん、裁判所から必ず許可が得られるとは限りません。契約残存期間を超える建物が再築されることについて、本当にやむを得ないのかを考慮しつつ判断されます。考慮される事項としては、建物の状況、建物の滅失の原因、賃貸人と賃借人のいずれが土地を使用する必要性が高いかなどが挙げられるでしょう。

更新の借地期間中における建物の滅失・再築のまとめ

旧借地法(最初の期間内も同じ) 借地借家法
(賃貸人が異議を述べない場合)
堅固建物:30年
非堅固建物:20年  
・賃借人からの契約解約を申入が可能
・賃貸人の承諾なく再建築した場合、賃貸人は契約の解約が可能
賃貸人の承諾に代わる裁判所の許可制度

最初の借地期間中の再築とは異なり、借地借家法では更新後は再築が制限されることが多くなります。賃貸人の承諾が得られた場合、最初の借地期間中の再築と同様の扱いとなりますが、以下のように異なる点もあり、賃貸人の承諾なく、再築を行う場合には権利を失う結果になる可能性が高くなるため、注意が必要です。

  • みなし承諾の制度(※)は適用されない
    ※賃借人が賃貸人に対し、残存期間を超える建物を再築する旨を通知したにもかかわらず、賃貸人が2か月以内に異議を述べなければ、再築を承諾したものと見做される(借地借家法7条2項)。
  • 賃貸人の承諾なく、残存期間を超える建物を再築した場合、賃貸人から契約解約が可能

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【コラム執筆者】
フォーゲル綜合法律事務所 堺事務所
弁護士 藤田 さえ子