土地の賃貸借(借地)契約~建物の滅失と再築①最初の存続期間

掲載日 : 2015年8月17日

旧借地法・借地借家法とも借地期間中に建物が滅失しても借地権は消滅することはありません。
このため、建物滅失後に別の建物を再築することは可能ですが、建物の耐用年数と土地賃貸借(借地)契約の残存期間の関係が問題となります。

そこで、滅失後における建物の再築の要件に関し、借地借家法は以下2つの時期に応じて異なる規定を定めています。
① 借地権設定当初の存続期間内の再築
② 更新後の再築
※旧借地法は①も②も同じ取り扱いをします(後述)。

なお、借地契約において、「増改築禁止の特約」がある場合、賃貸人の許可なく再築を強行すると、信頼関係の破壊にあたるとして、契約解除の問題がおこるので留意する必要があります。

まずは、最初の存続期間における建物滅失と再築について検証しましょう。

旧借地法(最初の存続期間内の滅失に限らず、更新後の滅失も同じ)
1)賃貸人が異議を述べない場合
借地契約の残存期間を超える建物を再築した場合、賃貸人が直ちに異議を述べない限り、建物滅失の日から起算して、堅固建物は30年、非堅固建物は20年の新たな借地期間が認められることになります。

2)賃貸人が異議を述べた場合
1)のような契約期間の延長は認められません。ただし、直ちに契約が終了する訳ではなく、本来の存続期間の終了時において、契約更新の有無が判断されることになります。
賃貸人が再築に関して異議を述べたことは、正当事由になるか否かの判断材料になりますが、直ちに正当事由として認められる訳ではありません。

借地借家法
1)賃貸人の承諾
借地借家法では契約期間の延長の前提条件として、賃貸人の承諾が必要となります。
賃貸人の承諾がない場合、賃借人は再築の通知をする必要がありますが、賃貸人が異議を述べると契約期間の延長はありません。

2)契約の延長期間
堅固建物、非堅固建物の区別はなく、賃貸人の承諾がある場合、承諾があった日または再築日のいずれか早い日から起算して原則として20年の借地期間が認められることになります(借地借家法7条1項)。
ただし、当事者間でこれより長い期間を定めたときはその期間延長となります。

3)みなし承諾
賃借人が賃貸人に対し、残存期間を超える建物を再築する旨を通知したにもかかわらず、賃貸人が2か月以内に異議を述べなければ、再築を承諾したものと見做されます(借地借家法7条2項)。
この通知があった場合、2か月を経過した時が承諾の時となります。

最初の借地期間中における建物の滅失・再築のまとめ

旧借地法(更新期間後も同じ) 借地借家法
(賃貸人が異議を述べない場合)
堅固建物:30年
非堅固建物:20年
(賃貸人の承諾がある場合)
承諾日または再築日から20年

旧借地法の場合、賃借人が何の通知もなく建物を再築し、賃貸人が意義を述べない限り、当然に一定期間の借地権が更新されることになります。一方、借地借家法では賃貸人の承諾が前提となり、旧借地法の「建てたもの勝ち」のような規定はなくなりました。

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【コラム執筆者】
フォーゲル綜合法律事務所 堺事務所
弁護士 藤田 さえ子