委任契約と請負契約の違い

掲載日 : 2015年7月16日

委任契約とは
委任契約とは、ある者が他の者から委託されて、法律行為をはじめ事務の処理を行うことを目的とする契約です(民法643条、656条)。事務処理を任せた者を委任者、これを引き受けた者を受任者といいます。

例えば、依頼者Aが弁護士Bに事件の処理を委託した場合には、依頼者Aを委任者、弁護士Bを受任者とする委任契約が締結されたことになります。契約の目的(内容)は、「事件を処理すること」という事務処理です。

受任者は委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理しなければなりません(民法644条)。委任契約の内容に従って、受任者と同様の地位や経験等を持つ平均的な人が合理的に尽くすと期待される注意を払って、事務を処理する義務を負うのです。これを「善管注意義務」といいます。

弁護士Bは依頼者Aに対し、このような善管注意義務をもって、事務を処理する義務を負います。ただし、依頼者Aの個別の指示を仰ぐ必要まではありません。

請負契約とは
請負契約とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約です(民法632条)。仕事を完成する側を請負人、報酬を支払う側を注文者といいます。

例えば、顧客Cが大工Dに建物の建築を注文した場合には、顧客Cを注文者、大工Dを請負人とする請負契約が締結されたことになります。契約の目的は、「建物の建築」という仕事の完成です。

大工Dは顧客Cに対して、建築を約束した建物を完成する義務を負いますが、どのような方法で建物を完成するかについては大工Dの判断に委ねられており、いちいち顧客Cの指示を仰ぐ必要はありません。

委任契約と請負契約の異同
委任契約と請負契約は、受任者も請負人も、事務処理や仕事の完成に当たり、自身の判断に従えばよいという点で共通しています。もちろん、受任者は善管注意義務を、請負人は仕事を完成する義務を負いますが、どのように義務を果たすかについて、委任者や注文者の個別の指示を仰ぐ必要まではないのです。

これに対し、委任契約と請負契約は、請負人は仕事を完成する義務を負いますが、受任者は必ずしもそうではなく、事務処理に当たって善管注意義務を果たせば足ります。

大工Dは顧客Cから注文を受けた建物を建築する必要があり、建物を建築しなければ契約違反の責任を問われます。これに対し、弁護士Bは依頼者Aから委託を受けた事件(裁判や交渉など)で最善の努力を果たせば足り、事件で勝利を収めなくても契約違反とまではいえないのです。

このように、委任契約と請負契約は、仕事の完成を目的とするかどうかという点で違いがあります。とはいえ、両者の違いはあいまいで、区別の難しいケースも少なくありません。詳しくは、弁護士などの法律の専門家までご相談ください。

【コラム執筆者】
紅梅法律事務所
弁護士 舞弓和宏

事務所HP :
http://www.kou-bai.com/