停止条件と解除条件の違い

掲載日 : 2015年6月16日

停止条件とは?解除条件とは?
「条件」とは、「法律行為の効力を、発生するか否か不確実な事実にかからせる特約」のことを言います。
この「条件」には大きく2種類があり、ある「条件」を充たしたときに法律行為の効力が発生するという特約(これを「停止条件」と言います)と、ある「条件」を充たしたときに法律行為が効力を失うという特約(これを「解除条件」と言います)があります。
以下、法律行為の代表である「契約」について、条件が付くとどうなるのか、見ていきます。

停止条件の具体例
例えば、転勤先の住居を確保するために不動産賃貸借契約を締結しようとする場合、契約書に「この賃貸借契約は、買主が●●支店に転勤になることを条件とする」との特約を付けたとします。これは、転勤が決まれば契約の効力が生じるという趣旨であり、「停止条件」付きの契約ということになります。

解除条件の具体例
他方、「この契約は、本年○月末日までに、買主の●●支店への転勤が決まらなければ、その効力を失う」という特約があるとすると、契約と同時に効力は発生しているものの、もしも期限までに転勤が決まらなければ、その時点で契約は失効するという趣旨であり、「解除条件」付きの契約ということになります。
なお、「平成27年5月末日になったら、」とか、「次に雨が降ったら、」というように、いつかは発生することが確実な事実によって契約の効力が決まるような場合は、「期限」と言い、「条件」付き契約とは言いません。将来発生するかどうかが不確実な事実による場合のみ、「条件」といいます。

停止条件と解除条件の違い(条件付き法律行為の効果)
1)停止条件付き契約
停止条件付き契約が締結された場合、条件が成就するまでの間、契約の効果は発生していませんが、契約自体は有効です。したがって、上記賃貸借契約の例で言えば、条件が成就する前は、まだ賃貸物件に住むことはできませんし、家賃を支払う必要もありませんが、だからといって、転勤がどうなるか決まる前に、どちらかが勝手に契約を解除することは出来ません。
その後、条件が成就すれば、契約の効力が発生しますから、当事者はお互いに契約書に定められた義務を履行しなければならないこととなります。逆に、条件の不成就が確定した場合、契約は最初からなかったことになります。この場合、条件が不成就になったことによって損害が発生するようなことがあっても、原則として費用等を相手方に請求することは出来ません(もちろん、相手が故意に条件の成就を妨げたような場合は別です)。

2)解除条件付き契約
他方、解除条件付き契約の場合は、条件が成就するまでの間、契約は有効ですから、当事者はお互いに契約書に定められた義務を履行しなければなりません。上記の例で言えば、賃借人は賃貸物件に住むことができ、家賃を支払わなければなりません。その後、解除条件が成就すると、契約はその時点で無かったことになりますが、原則として、過去にさかのぼって無効とはなりません。したがって、上記の例で見ると、解除条件の成就によって契約が失効したとしても、借主がそれまでの間賃貸物件を利用したこと、貸主に賃料を払ったことは有効な契約に基づいた 行為であり、条件の成就によって影響を受けません。

条件付き法律行為の注意点
条件付き契約は、ある条件が不確定な状態であっても有効な契約ができるというメリットがあるため、実務上、よく使われる手法です。
しかしながら、条件が成就するかどうかが確定するまでの間、契約の効力がどうなるかが未定であるため、当事者双方が法的に不安定な地位に置かれるというデメリットがあります。
さらに、条件付き契約は、条件の成就、不成就が確定したとき、契約締結から条件成就、不成就が確定するまでの間に行われた行為をどのように精算するか、という問題がしばしば起こります。したがって、契約書の中で、仮に条件が成就したらどうなるのか、不成就となったらどうなるのか、という点をしっかり定めておかなければトラブルの元になってしまいます(たとえ、民法の規定と同じ扱いにするとしても、契約書に重ねて明記しておくことが望ましいです)。また、成就したかどうかの判断が曖昧になるような条件も避けた方が良いでしょう。

条件付き契約は、実務上よく見る契約形態ですが、上記のような点について曖昧なままの契約もあるので、この契約にはどんな条件が付いていて、条件が成就するとどうなるのか、という点には注意した方がよいでしょう。

【コラム執筆者】
中本総合法律事務所
弁護士 宮崎慎吾