不動産登記とは④登記の公信力

掲載日 : 2015年6月5日

不動産取引においては、取引の安全をはかることを目的として、不動産登記制度が存在しています。登記制度により、自分の権利を主張することができます。
ただし、登記に公信力はありません。

登記に公信力はない
一般に権利の存在を推測させる外観を信頼して取引した者は、たとえその外観が実質的権利を伴わなくても、公示通りの権利を取得するという考え方を「公信の原則」と言います。
この公信力は動産には認められていますが、不動産の登記には認められていません。
難しいので具体例で説明しましょう。

①不動産登記の場合
例えば、Aが所有する土地について、AはBに脅迫され、その事実が無いにもかかわらずBへ売却した旨の登記をしたとします。その結果、登記上の所有者はBになり、そしてその事情を知らずに登記を信じたCが、Bからこの土地を購入し、これを登記しました。

登記の公信力

この場合、Cはこの土地の所有権を取得することはできません。
登記には公信力が認められていないため、登記を信頼して不動産取引を行ったとしても、その信頼は当然には保護されないことになるのです。

このため、不動産取引の場合、登記上の権利者が真の権利者かどうかを調査し、確認を取る必要があります。
そこで、不動産登記制度では、現在の所有者を公示するのみでなく、これまでの権利変動の過程をも記録する必要があるとされています。

※AがBとの売買契約を取り消す意思表示をした場合、AはCに対し、「土地所有権移転の登記を行え」と請求できます(登記を返せ)。当然、Cはこれに従わざるを得ませんが、Bに損害賠償を請求することはできます。

②動産の場合
上記事例において、対象物が不動産ではなく車のような動産であった場合は結果が異なります。真の権利者はAであり、Bに所有権はありません。このため、CもBから所有権を取得することができないのですが、それではCが気の毒であり、Bに所有権があるという外観を信じて取引をしたCは保護されることになります(公信力がある)。

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【コラム執筆者】
IS司法書士法人/IS行政書士事務所
司法書士, 行政書士 脇田 直之