不動産登記とは③登記の必要性と対抗力

掲載日 : 2015年6月2日

売買や相続などによって不動産の名義が変更されると、「所有権移転」の登記を行い、借入で担保を設定すると「抵当権設定」の登記を行います。
これらは、甲区(所有権)や乙区(所有権以外の権利)の登記であり、「権利の登記」と言います。

実は、権利の登記に法的な申請の義務はないのですが、実務では権利の登記はほぼ行われています。
では、なぜ権利の登記が行われているのでしょうか。

登記の対抗力
不動産は登記があれば、所有権や抵当権などを第三者に対抗することができます(登記の対抗力)。
以下、具体例でみていきましょう。

例えば、Aが所有する土地を1,000万円でBに売却するという契約が成立したとします。
Aが「売る」、Bが「買う」という約束をすれば、口頭であっても売買契約は成立し、Aは土地を引き渡す義務が生じ、Bは代金を支払う義務が生じます。
そこで、権利の登記は必ずしも必要ではないため、Bは登記をせずにいました。

登記の対抗力

ところが、Aは登記上の所有者が自分であることを利用して、Bに土地を売却したにもかかわらず、同じ土地をCに売却してしまいました。
このようにAが同じ土地をBとCに二重売却し、代金を受け取った場合、BとCのいずれに所有権があるのでしょうか。

登記の対抗力

この問題を解決するのが民法177条であり、これによると「登記をしなければ、その所有権を第三者に対抗することができない」と定められています。
すなわち、上記の例で言えば、土地の所有権はBとCで先に登記を済ませた方が取得できることになります。

ただし、詐欺・脅迫により登記申請を妨げた者、不法占拠者、不法行為者、無権利者などに対しては、登記がなくても対抗することができます。

登記の必要性
このように、登記をしておくことにより、「この不動産は自分のものだ」ということを第三者に主張することができます。
確かに権利の登記は必ずしも行う必要はありませんが、登記がないと自分の権利を確実にすることができません。このため、特に不動産の売買などでは登記を行うことが一般的であると言えるでしょう。

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【コラム執筆者】
IS司法書士法人/IS行政書士事務所
司法書士, 行政書士 脇田 直之