個人事業主の法人化②税務面での相違点

掲載日 : 2015年5月15日

個人事業主の法人化②税務面での相違点|公認会計士・税理士 田中豪

前回、個人事業主が法人化した場合のメリットとデメリットについて解説しました。
その中で「税金負担を軽減できる措置が多様化する」というメリットがありましたが、今回はこの点に着目し、法人化した場合の税務についてもう少し詳細に解説していきたいと思います。

一般的な相違点

  • 事業年度
    個人事業主の決算は暦年(1月~12月)ですが、法人の場合には自由に事業年度を決定することができます。
  • 申告期限
    個人事業主の申告期限は、翌年の3月15日までですが、法人の場合は事業年度終了後2か月以内となります。また申告期限の延長の届け出を出した場合には、事業年度終了後3か月以内となります。
  • 税率
    個人の所得税率は5%~40%の累進税率となっていますが、法人税率は25.5%(平成27年度税制改正により23.9%になります)です。なお、中小法人(資本金1億円以下)の場合には、年800万円以下の金額に対する法人税率は19%(特例15%)です。従いまして、個人事業主で利益が大幅に出ている場合には、高い累進税率が適用されることとなり、法人化した方が有利ということになります。

税務面でのメリット

  • 事業主の報酬・家族従業員給与
    個人事業主の報酬は経費として認められませんが、法人の場合は役員報酬として損金に算入できます。また家族と一緒に働いているケースでは、個人の場合、一定の届け出が必要ですが、法人の場合にはそのような届け出は必要ありません。また、退職金についても不相当に高額でない限りは会社の経費として認められます。
  • 生命保険の掛け金
    個人事業主の場合には、生命保険料控除という形で一定限度額の所得控除に限られていますが、法人の場合には生命保険の掛け金は経費として認められます(商品によっては損金として認められる額が異なります)ので、税金対策としては大きな効果が期待できます。
  • 繰越欠損金
    赤字となった場合の欠損金を翌期に繰り越して翌期の黒字と相殺できる繰越欠損金制度について、個人の決算では3年しか認められませんが、法人では9年間認められます。

税務面でのデメリット

  • 法人には青色申告控除がない
    個人事業主の場合は最大65万円認められていた青色申告特別控除ですが、法人化するとこのような制度はありません。
  • 住民税均等割り
    法人の場合には、行政サービスを受けているという名目で資本金等の規模により一定額の税金を納める必要があります。これを均等割りといいます。大阪の場合には、最低でも大阪市に5万円、大阪府に2万円、計7万円を決算が赤字であっても納付する必要があります。
  • 交際費が経費として認められないケースがある
    個人事業主の場合には、交際費は全額必要経費として認められましたが、法人の場合には、上限が決めら、これを超える額には課税されます。中小法人(資本金1億円以下)の場合には、年間800万円までもしくは飲食費合計の50%までのどちらかが経費として認められ、損金に算入できます。大会社(資本金1億円超)の場合には飲食費合計の50%までが経費として認められ、損金に算入できます。

【関連コラム】
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個人事業主の法人化③手続面について

【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪