代物弁済とは①要件と具体例

掲載日 : 2015年4月28日

代物弁済とは、債務者が債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をすることを指します(民法482条)。法律の規定だけでは分かりにくいので、具体的な事例で考えてみましょう。

代物弁済の要件
1)債権と債務の存在
例えば、AがBから、1か月後に返すと約束をして、100万円のお金を借りたとします。この事例のように、返すと約束をしてお金その他の物を借りることを、民法では消費貸借契約といいます(民法587条)。

この消費貸借契約に基づいて、AとBとの間に権利義務が発生します。つまり、AはBに対して、1か月後に100万円を返す義務を負います。Bからみれば、Aに対して、1か月後に100万円を返せと請求する権利を得ました。

Aのように、義務を負う側を「債務者」、Bのように、権利を持つ側を「債権者」といいます。

2)本来負担していた給付と異なる給付
Aは契約に従い、Bに100万円を返すことで義務を果たしたことになります。Bからみると、Aから契約どおり100万円を返してもらうことによって、権利が満足するわけです。このように、債務者が債権者に対し、自身の義務を果たすことを「弁済」といいます。弁済によって、権利義務は消滅します。

ここで、Aは100万円が準備できなかったからといって、勝手に契約を変更して、Bに対してルビーの指輪を渡したり、銀のネックレスを渡したりするわけにはいきません。そんなことをしても、AはBへの義務を果たした、つまり弁済をしたことにはならず、100万円を返す義務は消滅しません。

しかし、BがAから100万円を返してもらう代わりに、ルビーの指輪で満足するのであれば、Bの意思を尊重すべきでしょう。
このように、債務者(A)が債権者(B)の承諾を得て、その負担した給付(100万円の返済)に代えて他の給付(ルビーの指輪の交付)をすることを代物弁済というのです。

民法482条によれば、代物弁済は弁済と同一の効力を有しますので、これによって権利義務は消滅することになります。

代物弁済のポイント
代物弁済のポイントは、本来の給付に代えて、他の給付をすることについて債権者の承諾を取り付けることにありますので、後からトラブルになるのを防ぐためには、ポイントである債権者の承諾を書面に残しておくべきです。法律の実務では、代物弁済の細かな条件を書面に記載し、債権者だけでなく、債務者も署名押印する契約書を作成する事例が多くあります。

代物弁済のご相談は、弁護士などの法律の専門家までご相談ください。

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【コラム執筆者】
紅梅法律事務所
弁護士 舞弓和宏

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