埋蔵文化財包蔵地とは②土木工事など開発における手続きのながれ

掲載日 : 2015年3月22日

埋蔵文化財包蔵地に存するか否か確認
建物の建築などの開発に伴い土木工事を行う場合、地方公共団体の教育委員会などに備え付けてある遺跡地図や遺跡台帳などにより、対象地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」に存しないか確認します。
埋蔵文化財包蔵地に存する場合における手続きの流れは概ね以下の通りですが、流れや用語は地方公共団体により異なる場合があります。

対象地が埋蔵文化財包蔵地に存していた場合
埋蔵文化財包蔵地において土木工事を行う場合、発掘に着手する日の60日前までに地方公共団体の教育委員会などに事前の届出などをする必要があります(文化財保護法第93条、94条)。

地方公共団体は届出を受けて、遺跡の内容、工事の範囲及び工法などを踏まえ、当該工事が地下の埋蔵文化財に与える影響を考慮した上でその取扱い方法を決め、指示が通知されます。

  • 試掘調査・確認調査
    工事に先立って行う調査。
    試掘調査とは表面観察などからのみでは判断できない場合に行う埋蔵文化財の有無を確認するための部分的な発掘調査をいい、確認調査とは埋蔵文化財包蔵地の範囲・性格・内容などの概要までを把握するための部分的な発掘調査をいいます。場合により両方の目的で一連の調査を行う場合もあります。
  • 工事立会
    工事の実施中に地方公共団体の専門職員が立ち会うこと。
    対象地が狭小であるなど通常の発掘調査が実施できない場合、及び工事が埋蔵文化財を損壊しない範囲において計画されているものの、現地で状況を確認する必要がある場合において実施されます。
  • 慎重工事
    包蔵地内であることを認識して慎重に工事を実施。
    遺構の状況と工事の内容から、発掘調査や工事立会の必要がないと考えられる場合、埋蔵文化財において工事を行うものであることを認識の上、慎重に施工すること及び遺構や遺跡を発見した場合は地方公共団体と連絡を取ることが求められます。

本試掘調査と保存
試掘調査や工事立会において、工事による掘削が埋蔵文化財に及ぶ場合などにおいては、以下の通りの措置が取られることとなります。

  • 現状保存
    埋蔵文化財行政としては、埋蔵文化財をその価値に応じて適切に保存することが基本となり、土地に埋蔵された状態のままで将来に伝えていく現状保存が第一とされています。このため、掘削深度の変更や盛土施工への変更など遺跡保存への協力といった遺跡の保存についての協議が行われます。
  • 記録保存調査
    埋蔵文化財が存する土地で開発を行う事業者やその土地の所有者の意向などにより、やむを得ず現状保存ができない場合、当該埋蔵文化財を記録として保存するための発掘調査を行います。
    この場合、発掘・整理作業に伴う賃金、報告書の刊行費などが発掘調査に必要な経費と考えられ、事業者負担となります。※個人専用住宅は国庫補助金を得られる可能性があります。

遺跡などの所有権
出土した土器、石器、瓦片などについては、発見された場合、遺物として「遺失物法」の規定に基づき、落とし主の不明な遺失物として取り扱われます。このため、まずは所轄警察署へ届けられ、当該拾得物が埋蔵文化財と認められるときは、所定の手続きを踏むことにより文化財として認定され、国の所有となります。

埋蔵文化財包蔵地・開発手続きのながれ

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【コラム執筆者】
株式会社クラヴィス鑑定事務所
不動産鑑定士 伊東 玉喜