遺産相続における寄与分とは

掲載日 : 2014年11月10日

被相続人の生前に、ある相続人が特別に財産を増加するために貢献した場合、法定相続分の通りに遺産を分割すると、その相続人の貢献分が認められないこととなり、共同相続人の間に不公平が生じます。

例えば、事業を営んでいた被相続人に子供が3人いた場合。長男は被相続人の営む事業に積極的に協力し、その結果財産が増えましたが、その一方次男や三男は遠方のサラリーマンだったようなケースがこれに該当します。
すなわち、長男は被相続人の財産の増加に貢献していますが、他の兄弟は貢献していません。また、被相続人と長男の間に雇用契約があれば、労働に見合う対価を受け取ることもできますが、雇用契約がない場合、被相続人の相続にあたり、長男の貢献が考慮されず、他の兄弟と同じ相続分となってしまいます。

そこで、共同相続人間の実質的な公平をはかるため、貢献した相続人に対して、法定相続分以上の財産を取得させようとする制度です。

計算方法 (相続財産-寄与分の価格)×(法定相続分)+(寄与分の価格) 
例     被相続人A(事業を営む母)、法定相続人B、C、D(3人兄弟) 
法定相続分 1/3(B、C、Dとも)
相続財産 土地建物3,500万円
Bの貢献 Bだけがほぼ無休で事業を手伝っており、その寄与分が協議により500万円と認められた場合
Bの具体的相続分=(3,500万円-500万円)×1/3+500万円 

寄与者
寄与者とは、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人をいいます(上記の例では、長男B)。
このため、相続人以外の者、内縁の配偶者や長男の妻などには寄与分はありません。
相続人以外に渡したいと思うと遺言書を残すか生前に贈与する必要があります。

寄与分の決め方
寄与分は原則として相続人全員の話し合い(協議)により決定します。
協議がまとまらない場合や協議をすることができない場合、寄与者が家庭裁判所に調停や審判を申立て、その額を決定してもらうことになります。

具体的相続分
寄与分がある場合、これを勘案した相続分を具体的相続分といい、法定相続分と異なることとなります。
上記のBの例では以下のようになり、Bの寄与が認められた場合の相続分は法定相続分以上の金額となることが分かります。
・Bの法定相続分は、3,500万円×1/3
・Bの具体的相続分は、(3,500万円-500万円)×1/3+500万円
Bさんは1500万円、他の二人は1000万円ずつとなります。

寄与分と認められる場合
寄与分が認められるためには、被相続人の財産の維持または増加について「特別の寄与」があることが必要となります。
相続人の一人が親族の扶養義務の範囲内で行った貢献や精神的な貢献などは寄与分が認められません。

実際に裁判で「特別の寄与」が有ったとして寄与分を認めてもらうのはとても難しいものです。
ですので出来る限り話し合いで、「親の財産を増やすために私が一生懸命こんなことをしたんだからこれぐらい認めてくれないか」などと気持ちを伝えて、遺産分割協議書を完成させるようにしましょう。
俺は、親のためにしてきたのだから当たり前だと大上段に構えて物を言い始めると、話がこじれて遺産分割協議が整わなくなります。
その結果裁判になると、思ったより「特別の寄与があったとは認められなくて」辛い思いをする可能性があるので、良く考えて寄与分は主張しましょう。

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【コラム執筆者】
勝司法書士法人
司法書士 勝 猛一