遺産相続における特別受益(生前贈与)とは

掲載日 : 2014年11月4日

被相続人の生前に、ある相続人が特別に財産を贈与されていた場合、法定相続分の通りに遺産を分割すると、その相続人の取得分が大きくなり、共同相続人の間に不公平が生じます。

このため、遺産分割にあたっては、共同相続人間の実質的な公平をはかるため、特別に財産を贈与されていた場合、財産の前渡しを受けていたものとして計算されることになります。

計算方法 (相続財産+贈与の価額)×(法定相続分)-(贈与の価額) 
例     被相続人A(母)、法定相続人B、C、D(3人兄弟) 
法定相続分 1/3(B、C、Dとも)
相続財産 土地建物3,500万円
特別な贈与 Bのみ海外留学費として1,000万円受けていた
Bの具体的相続分=(3,500万円+1,000万円)×1/3-1,000万円 

特別受益の持戻し
相続財産に贈与の価格を加算すること。
持戻しの対象は、被相続人から相続人に対する生前贈与または遺贈となるため、相続人でない者に対する生前贈与や遺贈は対象外となります。
但し被相続人は遺言書で受戻しを禁ずることも可能です。親の意思と、相続を受ける子供たちとでは、考え方が違うときがあるのでその時はあえて遺言書でその意思を書き残す必要があります。
(しかし、遺留分を侵害することはできません。)

具体的相続分
特別受益がある場合、これを勘案した相続分を具体的相続分といい、法定相続分と異なることとなります。
上記のBの例では以下のようになり、Bが特別な贈与を受けていた場合の相続分は法定相続分より少ない金額となることが分かります。
・Bの法定相続分は、3,500万円×1/3
・Bの具体的相続分は、(3,500万円+1,000万円)×1/3-1,000万円

個別にみると、特別受益を適用せずに3人で分けると一人1166万円ずつになるものが、適用するとBさんは500万円で他の二人は1500万円ずつということです。

特別受益と認められる場合
①遺贈、②婚姻・養子縁組のための贈与、③生計の資本としての贈与があります。
(例)
・結婚の際に持参金をもらった(結納金・挙式費用以外)
・事業を始めるにあたって、開業資金をもらった
・マイホームを建てるときに、資金を出してもらった

この様な特別受益は、裁判を通して主張する場合を除いては、相続が発生した際に遺産分割の協議の場で、特別受益という言葉や意味は分かっていなくても、相続人間では無意識に適用されています。
例えば、相続財産の中で価値の高いものと低いようなものが有った時に、お兄さんは海外に留学に行かせてもらったから、あるいは医学部にいって学費が多くかかったから、相続によってもらうものは、価値の低いもので良いよね。など、知らず知らずのうちに話し合いの中に含まれているものです。

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【コラム執筆者】
勝司法書士法人
司法書士 勝 猛一