強制執行とは②金銭執行とその問題点

掲載日 : 2014年10月16日

金銭執行について
金銭債権(「~円を支払え」と請求する権利)を実現するために行われる強制執行手続を金銭執行といいます。
具体的には、不動産、動産、債権等を差し押さえて換価することで権利を実現することになるのですが、それぞれに一長一短があり、どの財産を差し押さえるのが効果的であるかは事案によって異なってきます。以下、それぞれの手続の特徴を簡単に書きます。

不動産
まず、不動産執行の場合は、差し押さえて競売手続を経て売却し、その売却代金の中から債権を回収することになります。ただし、不動産に担保が設定されている場合、あるいは税金の滞納などによって国や地方公共団体の差押が入っている場合など、その不動産から優先して回収できる権利を持つ者がいる場合には、せっかく強制執行を申し立てても、売却代金はそちらに優先して配当されてしまい、回収がほとんどできないということもあり得ます。また、不動産競売には数十万円程度の費用がかかることが多いため、その費用を用意しなければならないという問題もあります。

動産
次に動産執行の場合は、差し押さえるべき動産がある場所(例えば相手方の自宅等)に執行官が行き、そこにある動産を差し押さえるという手続がとられます。しかしながら、執行官が現場に行ったときに、差押えるべき物がその場に無ければ差し押さえることができません。
したがって、差押の対象物がその場にある日に執行することが必要であり、たとえば相手方が商売をしていて、事業所にある現金を差し押さえようという場合であれば、毎月○日には売掛金がたくさん回収されて事業所にたくさんの現金が残っているが、翌日には銀行に預けられてしまって現金はほとんど残っていない等の情報が重要になります。また、法律上、差し押さえができない動産として指定されているものは差し押さえることができません。費用としては、執行官の費用の他、鍵のかかった室内の物を差し押さえようとすれば鍵を開けることができる補助者(鍵屋さん)が必要となることなどもあり、数万円~十数万円程度かかることが考えられます。

債権
最後に、債権執行の場合は、差押の対象となる債権の債務者(強制執行を申し立てた者から見ると、債務者のさらに債務者であり、第三債務者と呼ばれます)に対して、「この債権は差し押さえたので、相手方ではなく、こちらに直接支払って下さい」という命令を裁判所に出してもらい、直接債権を取り立てるというやり方になります。
具体的には、たとえば銀行に対する預金を差し押さえると、銀行に対して、「この人の預金は差し押さえられたので、預金の引き出しには今後応じないで下さい。その預金は直接こちらに払って下さい。」という命令がでます。その結果、銀行に預金があれば、その預金を銀行から支払ってもらえるというわけです。債権差押は、執行官が現地に赴くわけではないため、費用は比較的安く、一つの債権を押さえるのに1、2万円程度で済むことが多いです。
注意すべき点としては、どこの銀行に相手方の預金があるのかを調べるのが難しいこと、差押えの際に口座に入っている預金は差し押さえられるが、その前に引き出されていたら空振りになること、銀行が逆に債務者に対して貸付金債権等を持っていた場合に相殺される可能性があること等が挙げられます。また、動産と同じく、法律上差押えが禁止された債権もあります。

金銭執行の問題点
このように、金銭執行については、費用の問題(上記申立に必要な費用の他に、弁護士を利用するとその費用もかかることがあります)や回収の実現性の問題から、どの手続によるべきかの判断が難しいケースもあります。また、相手方にそれほど財産が無いような場合には、強制執行を申し立てても費用倒れになる可能性が高いという問題もあります。

【関連コラム】
強制執行とは①要件と手続き
強制執行とは③不動産明け渡しの執行と強制執行のポイント

【コラム執筆者】
中本総合法律事務所
弁護士 宮崎慎吾