強制執行とは①要件と手続き

掲載日 : 2014年10月13日

強制執行とは
例えば、他人にお金を貸したのに返済期限になっても返してくれない場合、相手の家から勝手にお金を持ち出して回収する、というやり方は法律上許されません(自力救済の禁止)。いくら貸したお金を回収するためであっても、このようなことをすれば住居侵入罪、窃盗罪になってしまいます。
相手が任意に支払ってくれない場合、適法にお金を回収するためには、訴訟を提起して、確かにお金を返してもらう権利があると裁判所に認めてもらった上で、相手の財産を差し押さえるなどの方法による必要があります。
このように、裁判所で認めてもらった権利等を強制的に実行する手続を強制執行手続と呼びます。

強制執行手続を行うための要件(債務名義)
上記のとおり、強制執行手続を行うためには、裁判所に自分の権利を認めてもらう必要があります(必ずしも裁判所に認められた権利に限るものではありませんが、ここでは割愛します)。
この裁判所によって認められた権利のことを「債務名義」と言います。代表的な債務名義として、裁判所の確定判決や裁判上の和解、一定の要件を満たした公正証書などがこれに当たります。
この債務名義をもって裁判所に強制執行の申立をすることで、判決の内容を強制的に実現することが可能になります。したがって、裁判で勝訴判決をもらったとしても、改めて裁判所に強制執行手続の申立をしなければ判決の内容を実現することはできません。

強制執行の種類(金銭執行と非金銭執行)
強制執行は、実現したい権利の種類によって、大きく金銭執行と非金銭執行の2種類に分けることができます。
金銭執行とは、強制的に金銭を支払わせることを目的とする強制執行であり、例えば貸金を返してくれない債務者の銀行預金を差押えて銀行から取り立てる強制執行などが挙げられます。
さらに、金銭執行は、相手のどのような財産を差し押さえるのかによって、不動産執行、動産執行、債権執行等に分類することができます。
非金銭執行とは、金銭の支払い以外の行為を強制的に実現することを目的とする強制執行であり、例えば物の引渡しの強制執行などが挙げられます。
非金銭執行の代表的なものは、不動産明け渡し、引き渡しの強制執行、動産引き渡しの強制執行等ですが、その他にも、建築の差止めや謝罪広告の強制など、様々な種類の強制執行が考えられます。

強制執行手続
強制執行を行うには、まず、申立書、上述の債務名義(判決の正本)などを揃えて裁判所に強制執行を申し立てることが必要です(他の必要書類等はここでは割愛しますが、裁判所HP等で確認できます)。
この際、金銭執行であれば相手方のどの財産を差し押さえたいのか、非金銭執行であれば相手方にどのような行為をさせたいのか(どのような行為を止めさせたいのか)等を具体的に記載して申し立てることが必要です。例えば、「被告は原告に100万円を支払え」という判決をもって強制執行を申し立てる場合(金銭執行)には、不動産執行であれば○○に所在する土地(建物)、動産執行であれば相手方の自宅内の家財、商品類、機械、貴金属、その他、債権執行であれば○○銀行○○支店の相手方名義の預金というように、何を差し押さえるのかを特定して申し立てることになります。
また、「被告は原告に対し○○の建物を明け渡せ」という判決に基づいて強制執行を申立てる場合(非金銭執行)には、○○所在の不動産を明け渡せ(建物であれば、人も荷物も何も残っていない状態にして出て行ってくれ)というように相手方に求める行為を特定して申し立てることになります。

【関連コラム】
強制執行とは②金銭執行とその問題点
強制執行とは③不動産明け渡しの執行と強制執行のポイント

【コラム執筆者】
中本総合法律事務所
弁護士 宮崎慎吾