相続開始後のスケジュール

掲載日 : 2014年10月9日

相続がいったん発生すると、通夜や葬儀が執り行われ、それらが一段落すると相続にまつわるさまざまな手続きが必要となってきます。手続きの種類は多岐にわたり、それらの中には期限内に定められた手続きを行わないと相続人にとって不利益を被るケースもあります。

実際の相続の際にこれらの手続きをスムーズに進めるためには、最低限これらの期限を把握し全体の流れを知っておくことが大切です。相続手続きをざっくりと把握するために下図を見て全体の流れを把握しておきましょう。

相続開始後のスケジュール

1.死亡届の提出
医師の死亡診断書と共に7日以内に本籍地、死亡地、届出人の住所地のいずれかの市町村役場に提出します。また、世帯主が死亡した場合には14日以内に「世帯主変更届」を市町村役場に提出します。

2. 遺言書の確認
自筆証書遺言又は秘密証書遺言がある場合には開封せず家庭裁判所での検認手続が必要です。なお、公正証書遺言は検認手続き不要です。また、公正証書遺言の存在を確認するには「公正証書遺言システム」が利用でき、遺言の有無を容易に確認することができます。(被相続人の生存中は利用できません)

3. 相続人の確定
相続人や被相続人の戸籍謄本などを取り寄せ、相続人を確定させます。またこの際に名義変更に必要な分も併せてそろえておくと便利です。

4. 財産、債務の把握
被相続人のプラスの財産(預貯金や不動産)と、マイナスの財産(借金や未払いの公租公課等)を調査します。

5. 生命保険金の請求
被相続人が生命保険契約の被保険者であった場合には「死亡保険金支払請求書」を保険会社へ提出し手続きします。(3年間請求がない場合は時効により消滅するので注意が必要です。)

6. 相続放棄、限定承認
相続放棄とは相続人が相続権を放棄する制度をいい、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出し手続きします。
限定承認は被相続人のプラスの財産からマイナスの財産を差し引き、その上でも財産があればその分だけを相続し、逆にマイナスの方が大きければ相続しないという制度をいい、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に「限定承認申述書」を提出し手続きします。

7. 所得税、消費税の準確定申告
相続開始の日の属する年の前年又は相続開始の日の属する年の1月1日から相続開始の日までの期間について被相続人に申告すべき所得税・消費税がある場合には相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、相続人全員の連名で申告・納付の手続きが必要です。他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできますが、この場合はその申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければならないことになっています。
準確定申告書には、各相続人の氏名、住所、被相続人との続柄などを記入した準確定申告書の付表を添付し、被相続人の死亡当時の納税地の税務署長へ提出します。

8. 遺産分割協議書の作成
相続人全員で相続財産の分割協議を行い、全員の実印・印鑑証明を添えた遺産分割協議書を作成します。遺産分割に期限はありませんが、相続税の申告期限内に分割協議が成立しない場合には「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」等の優遇措置が受けられないため早めに成立させるようにしましょう。

9. 相続税の申告と納付
相続税が発生している場合は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に税務署へ相続税の申告と納付を行います。この期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときはこれらの日の翌日が期限となります。納付は税務署だけでなく金融機関や郵便局の窓口でもできます。
また必要であれば税務署へ物納や延納の申請も同時に行います。延納とは何年かに分割して利息と共に相続税を納付していく方法であり、物納とは相続財産そのものを納めることをいいます。

10. 相続財産の名義変更
相続財産である不動産や預貯金等について名義変更の手続きを行います。名義変更には期限はありませんが名義変更をしておかないと相続財産の売却や担保の設定などができず、また相続人が亡くなるとその相続人の相続人全員での手続きが必要となりより煩雑になります。また書類等の保管期間の関係で書類が揃わなくなると手続き自体が困難となりそれに関する費用も増えてしまう結果となります。

ご覧頂いた他にも細かい手続きはたくさんあり、その手続きには手間と膨大な書類の収集が伴ってまいります。
また、相続税の申告が必要な場合については財産の把握や評価、準確定申告や二次相続との関連、納税資金の準備等について専門的知識が要求されますので税務の専門家である税理士へできるだけ早いタイミングで相談することをおすすめします。

【コラム執筆者】
遠藤あや税理士事務所
税理士 遠藤 亜耶