廃棄物とは?

掲載日 : 2014年9月16日

今回は、基本に立ち返って「廃棄物」とは何かを見ていきたいと思います。

ちょっとゴミ箱にゴミを捨てるぐらいでは、「廃棄物は何か」なんて意識しないと思います。
もう要らないから、そりゃゴミですし、言い換えたらまあ廃棄物なのかなと。

しかし、廃棄物を取り巻く環境は非常にシビアで、廃棄物は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(いわゆる「廃棄物処理法」)」でがんじがらめ、ちょっとしたことが法律違反になりかねません。
「廃棄物」なら法令違反、「廃棄物」でないならおとがめなし、その境は紙一重でありその結果は雲泥の差なのです。

廃棄物とは?
〔廃棄物処理法第2条〕
という訳で、まずは法律の定義を確認しておきましょう。
「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。」と規定されています。

あれっ、ゴミ? 不要物?
結局、何にも分かりませんね。困りました。
不要物とは誰にとって不要なのでしょうか。私にとっては不要物でない!と言えば廃棄物でなくなるのか、これでは全く判断できません。

やはり分かりやすい明確な基準がほしいところです。

廃棄物の基準
〔総合判断説〕
かつては、排出実態などから客観的に判断しましょうという解釈もありました。
しかし今では、廃棄物を「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物」とし、これに該当するかどうかは「その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断する」とした説が一般的になっています。
環境省の通達や裁判所の判例により構築された解釈です。

〔おから事件〕
豆腐を作る際に出るおからを引き取った業者が廃棄物処理法違反に問われる事件がありました。
お金をもらって、肥料を作るためにおからを引き取ったのはいいのですが、あまりにも大量に引き取って、それを放置して腐敗させ異臭を放っていたというのです。
この裁判では、最高裁が上記の判断基準を用いて、おからは廃棄物であると認定して、業者を無許可による営業をしたとして有罪判決を下したのです。(最高裁 H11.3.10)

総合的に判断した結果「廃棄物」となった事例ですが、やはり“総合的”に判断するのは各要素の取り込みが恣意的にならないとも限らず、なかなか難しいものです。
現場では一応、上記考慮要素のうち「取引価値の有無」を基本として考えることが多いです。有償で引き取られるかどうか、売買の対象となるかどうかで判断します。
それでも、「取引価値の有無」は一要素に過ぎず、必ずしも取引価値があれば「廃棄物」でなくなるという訳でもありません。また、有償で買い取ってもらうといっても、そこに運搬費用などの負担があれば、実際には処理費用を払っているのと変わらないことにもなります。

このように、実は「廃棄物」の解釈は非常に難しいものなのです。
環境省からも時々通達が出たりしますが、これはこれで解釈の混乱に拍車がかかったりもするのです。
世の中は常に変化します。その変化する社会の事情も反映しながら「廃棄物」もまた中味が変わっていきます。

【コラム執筆者】
行政書士北浜合同事務所
行政書士 池口 和広