法人・個人間の融資③役員借入金のデメリットと解消方法

掲載日 : 2014年8月28日

今回は法人・個人間の融資について、「個人から法人への融資」の中でも役員借入金について解説いたします。
中小企業や同族会社では、資金繰りが悪化してきた場合に、社長が会社へ資金融資することはよくあります。また、一旦、役員借入金が実行されると、返済に迫られることがないことから、なかなか返済が進まず、場合によってはどんどん大きくなっていくというケースが多々見られます。

役員借入金のデメリット

  • 金融機関の印象が悪くなる
    役員借入金は、会社側からみれば負債項目ですので、資産負債比率や自己資本比率等の財務比率に影響を与えます。もちろん、財務比率の悪化は、銀行融資における与信審査に大きな影響を与えます。
  • 相続税が高くなる
    社長に万が一のことがあった場合、相続が発生することになりますが、役員借入金すなわち、社長の会社に対する債権も立派な相続財産となります。問題は、会社に返済能力がないなど、債権の回収見込みがたっていない場合であっても、債権残高が相続税の対象になってしまいます。

以上のような役員借入金は早期に解消することが望ましいといえます。

役員借入金の解消方法

  • 会社から返済してもらう
    役員報酬を減額するなど会社の資金を確保し返済してもらいます。ただし、これまで返済できなかったものを急に返済できるケースはまれであり、現実的には長期間を要する手段であると考えられます。
  • 債権放棄をしてもらう
    会社に対する債権を書面で放棄してもらうことにより、役員借入金を解消します。この場合、会社は「債務免除益」という収益が計上されますので、課税の対象になります。特に、税務上の繰越欠損金があり、これまで法人税等が発生していなかった会社では、債務免除益の金額が税務上の繰越欠損金の額を超える場合には法人税等が発生することになりますので注意が必要です。
  • DES(デッド・エクイティ・スワップ)を実施する
    DESとは、社長の会社に対する債権を株式に替えるということです。つまり、会社側では、役員借入金という負債が資本項目に振り替わります。このため、資産負債比率や自己資本比率が上昇し、会社の財務比率改善につながります。
    他方、役員にとっても相続税の計算において、金銭債権は額面で評価されるのに対し、株式は時価で評価されるため、株式の時価が額面よりも低い場合には節税効果が期待できます。

※ただし、DESは、会社側にとっては、資本金が増加することとなるため、住民税均等割りが増加し登記費用が発生するとともに、資本金が1億円を超えると、中小企業の優遇税正の不適用、外形標準課税の適用等の問題が生じます。

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法人・個人間の融資②法人から個人への貸付と利息

【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪