法人・個人間の融資①個人から法人への貸付と利息

掲載日 : 2014年8月19日

今回は法人・個人間の融資について解説いたします。
「会社の運転資金が一時的に不足しそうになったため、社長から100万円を借りました」というように、会社経営を行っているうえで、特に同族会社においては、会社役員と会社との間で資金を融通するケースが多く見られます。
これら取引は、取引が行われること自体、法的に問題になることはありませんが、税務問題が多く含まれていることから、税務調査においては、重点的に調査される可能性が高い取引といえます。

これら、法人・個人間の融資について、「個人から法人への融資」、「法人から個人への融資」の両面から考察していきましょう。

個人から法人への融資
個人から法人への融資については、そもそもそれが真実の借入れかどうか、実態を伴っているものかどうかが確認されます。
すなわち、過去の不正により得た資金を会社資金として表向きに利用する場合に、「社長からの借入金」という手段で会社に還流し利用されるケースが見られます。したがって、個人・会社間の借入契約の実態の確認は当然のことながら、その背景や個人の資金の出所が調査される可能性があります。

次に、資金の融通に伴って発生する利息が適正な額であるかどうかが問題となります。
基本的な理解としては、借り手側の会社が、通常支払われるべきと思われる額を支払っているか、すなわち、適正利率以下であれば税法上の問題は生じません。
その場合、会計的には、支払い側の会社では、支払利息として営業外費用で処理され、受け取った個人は所得税法上、雑所得として扱われます。

適正利率とは
適正利率については明確な規定はありませんが、以下のように考えられています。

  • 役員等の個人がその貸付資金を金融機関から借り入れている場合には、その借入利率
  • 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる利率

では、適正利率よりも高い利率で貸し付けた場合や低い利率で貸し付けた場合、また金利を受け取らなかった場合にはどのような取り扱いになるのでしょうか。

適正利率以外の資金の融通

  • 無利息貸付
    個人から法人へ資金を貸し付けた場合、個人が利息を受け取らないケースも多く見られます。結論としては、この場合、特に税法上の問題は生じません。会社は「利益の追求」を目的としているため、個人に資金を貸し付けた場合には利息を取る必要がありますが、個人は「利益の追求」を目的としていませんから、所得税法上、原則的にはみなし収入の規定を設けておらず、個人課税には影響を与えないのです。
    よって、適正利率以下であれば税法上の問題は生じません。ただし、まれに、無利息貸付が個人の所得を不当に減少させる結果となると判断された場合には、「同族会社の行為計算の否認」の規定の適用を受けることもありますので、注意が必要です。
  • 適正利率超のケース
    逆に、適正利率超の利率を適用して貸し付けた場合には、適正利率との差額は給与所得として所得税が課税されます。
    支払った側の会社では、適正利率部分は支払利息として営業外費用処理されますが、超過部分は役員報酬もしくは給与所得となり、不相応に高額なものは損金算入が認められない場合も考えられますので、注意が必要です。

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【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪