圧縮記帳とは③会計処理(直接減額方式と積立金方式)

掲載日 : 2014年3月17日

圧縮記帳は、受贈益等と圧縮損を両建て処理し、両者が相殺されることにより課税関係が生じないようにする制度です。
圧縮記帳の会計処理方法として、直接減額方式と積立金方式があります。
以下の国庫補助金の例について、圧縮記帳をしなかった場合と直接減額方式、積立金方式の処理方法の違いをみてみましょう。

【設例】
国庫補助金の交付 3,000千円
取得した固定資産の取得価額 5,000千円 
耐用年数10年、 残価価額0、 定額法(償却率:0.100)
税率 40%
毎年の経常利益 10,000千円

圧縮記帳を適用しなかった場合 (単位:千円)
1) 国庫補助金の交付を受けたとき 

(借)現金預金   3,000  / (貸)国庫補助金受贈益 3,000

2)固定資産を取得した場合

(借)固定資産   5,000 / (貸)現金預金   5,000

3)減価償却費の計上

(借)減価償却費   500  / (貸)固定資産   500

※ 5,000千円×0.100=500千円

【税額の計算】
・1年目:(10,000千円+3,000千円-500千円)×40%=5,000千円
・2年目以降:(10,000千円-500千円)×40%=3,800千円
・10年間の税額:5,000千円+3,800千円×9年=39,200千円

圧縮記帳の直接減額方式 (単位:千円)
1)国庫補助金の交付を受けたとき

(借)現金預金   3,000  / (貸)国庫補助金受贈益 3,000

2)固定資産を取得した場合

(借)固定資産   5,000  / (貸)現金預金   5,000

3)圧縮記帳の処理

(借)固定資産圧縮損 3,000  / (貸)固定資産   3,000

4)減価償却費の計上

(借)減価償却費   200  / (貸)固定資産   200

※(5,000千円-3,000千円)×0.100=200千円

【税額の計算】
・1年目:(10,000千円+3,000千円-3,000千円-200千円)×40%=3,920千円
・2年目以降:(10,000千円-200千円)×40%=3,920千円
・10年間の税額:3,920千円×10年=39,200千円

圧縮記帳の積立金方式 (単位:千円)
1)国庫補助金の交付を受けたとき

(借)現金預金   3,000  / (貸)国庫補助金受贈益 3,000

2)固定資産を取得した場合

(借)固定資産   5,000  / (貸)現金預金   5,000

3)圧縮記帳の処理

(借)繰越利益剰余金  3,000 / (貸)圧縮積立金  3,000

※税効果会計は適用しないと仮定します。

4)1年目の圧縮積立金の取崩し

(借)圧縮積立金  300   / (貸)圧縮積立金取崩額 300

※ 3,000千円÷10年=300千円

5)減価償却費の計上

(借)減価償却費  500  / (貸)固定資産   500

※ 5,000千円×0.100=500千円

【税額の計算】

  • 1年目
    3,920千円
    =(10,000千円+3,000千円-3,000千円+300千円-500千円)×40%
    ※圧縮積立金3,000千円の別表減算を行うとともに、1年目分の圧縮積立金の取崩額300千円を別表加算する。
  • 2年目以降
    3,920千円
    =(10,000千円+300千円-500千円)×40%
    ※毎年、圧縮積立金の取崩額300千円を別表加算する。
  • 10年間の税額:3,920千円×10年=39,200千円

以上のように、圧縮記帳を適用した場合には、適用しない場合に比べて1年目の税額負担が軽減されていますが、10年間を通じては税額が同額になります。

【関連コラム】
圧縮記帳とは①認められる場合
圧縮記帳とは②減価償却費と税効果

【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪