建物賃貸借契約を締結する際のポイント②修繕の負担~特約条項|弁護士 浜本光浩

掲載日 : 2020年4月24日

賃貸借の契約書に署名押印した後は、書面内容を理解したことになり、後日「知らなかった」とは言うことは出来なくなります。
書面には多くの事項が記載されていますが、特に確認が必要な点は以下の点です。

1.契約の場所 6.修繕の負担
2.契約の目的 7.契約解除
3.契約の種類と期間 8.禁止事項
4.賃料 9.原状回復
5.一時金(敷金・礼金) 10.特約条項

6. 修繕の負担
修繕におけるトラブルも多く、賃貸人と賃借人の修繕分担表を作成する等、修繕区分を明確にすることが重要となります。
①民法の修繕義務
賃貸中の修繕に関する規定について、民法では物を貸す場合、賃貸人はきちんと使用できる状態で提供することが前提となるため、貸した物件が壊れて使用に支障が生じる場合等、修繕する必要があります(民法606条第1項)

②契約における特約
ただし、以下の通り、契約書で賃貸人・賃借人が修繕負担する特約が付加されていることが多く見られます。
例:
・賃貸人負担
建物自体の老朽化・損傷、備付けの設備の損傷(外壁の塗装、配管の取替え等)
・賃借人負担:
通常の使用において必要な修繕(電球の取替え・網戸の穴の補修等)

③店舗
賃借人のイメージ通りに店舗を仕上げるため、内装の大半を賃借人が自由に行える契約があります(スケルトン貸し)。
この場合は、「工事負担区分表」が添付されていることが多いので、確認します。

7. 契約解除
賃貸借契約を解除できる要件が規定されており、以下のようなものが通常挙げられます。
・賃借人による契約違反
・賃料の滞納(○ヶ月などの期間が記載されていることが多い)
・破産手続開始決定等の倒産手続きの開始
・反社会的勢力であること

8. 禁止事項
契約期間において禁止される要件が規定されており、以下のようなものが通常挙げられます。
・ペットの飼育、無断で他人を同居させること
・危険物の持ち込み
・他者に賃貸借の権利を譲渡または転貸すること
なお、禁止事項の中には、事前に賃貸人の承諾で可能になるものが含まれるため、これも確認しておきます。

9. 原状回復
賃貸借契約の終了にあたり、入居時の状態に部屋を戻すことを指します。
一般的には、経年変化や通常の使用による磨耗は賃貸人の負担で、賃借人の故意・過失によって汚損・損壊したものがあれば、その修理費を請求されます。
ただし、原状回復は賃貸借契約でトラブルになることが多いため、取り決めを十分確認または具体的な取り決めをすることが重要となります。

10. 特約条項
賃貸人・賃借人の事情により特約が付加されることがありますが、一方的に賃借人に不利な条項が記載されている場合もあるため、注意が必要となります。

なお、近時、賃借人が残置物を放置して退去してしまい、次の賃借人に部屋を貸すことが出来ない問題が生じています。そこで、「残置物については、賃借人が所有権を放棄したものと見做す」という特約を付加することにより、賃貸人が残置物を処理することを可能にし、問題解決を図るケースも見受けられます。

【参考】
残置物の所有権放棄の特約は有効か
建物賃貸借契約を締結する際のポイント①契約の場所~一時金

【コラム執筆者】
浜本綜合法律事務所
弁護士 浜本 光浩