圧縮記帳とは②減価償却費と税効果

掲載日 : 2014年3月16日

圧縮記帳は、国庫補助金に係る受贈益や固定資産の譲渡益等について、一定の要件を満たす場合に一時的に税負担を軽減する制度です。

ただし、この制度は免税制度ではなく、結果的に課税を繰り延べるテクニックであるということに留意する必要があります。以下の例で検証してみましょう。

例えば、国庫補助金3,000の交付を受けて、自己資金2,000を加えて5,000の固定資産を取得した場合には以下のようになります。

仕訳例
1)国庫補助金の交付を受けたとき(単位:千円)

(借)現金預金   3,000  / (貸)国庫補助金受贈益 3,000

2)固定資産を取得した場合

(借)固定資産   5,000  / (貸)現金預金   5,000

このままでは、国庫補助金受贈益3,000に税金がかかってしまいます。
そこで、以下のような会計処理をすることにより、課税を繰り延べることができます。

3)圧縮記帳の処理

(借)固定資産圧縮損 3,000  / (貸)固定資産   3,000

国庫補助金受贈益3,000と固定資産圧縮損3,000が相殺され、国庫補助金の交付を受けたことによる益金の課税がなくなります。
すなわち、新たに取得した固定資産の価額について圧縮損を計上することにより、受贈益等に課税関係を生じないようにしようとするのが圧縮記帳の制度です。

圧縮記帳を適用した場合の取得価額
圧縮記帳の適用を受けた固定資産の取得価額は、圧縮後の価額となり、実際の取得価額から圧縮損を控除した後の金額となります。
上記の例では、固定資産の取得価額は取得価額5,000から圧縮損3,000を控除した2,000となります。

圧縮記帳を適用した場合の減価償却費
圧縮記帳の適用を受けた固定資産は、圧縮記帳後の金額を基礎として減価償却が行われることになりますので、取得価額を基礎にして減価償却を計算するよりも、減価償却費の額が少なく計算され、その分だけ所得金額が増加して課税所得金額が大きくなります。

例えば、上記の例で耐用年数を10年の定額法(償却率0.100)で計算した場合、各事業年度の償却費に以下のような違いが生じます。また。この場合、収入がいずれも1,000だと仮定すると、課税所得金額にも違いが生じます。

圧縮記帳の適用 減価償却費 課税所得金額
受けない場合 500(5,000×0.100) 500=(1,000-500)
受ける場合 200(2,000×0.100) 800=(1,000-200)

これは、減価償却期間を通じて行われます。このため、圧縮記帳した事業年度から固定資産の減価償却が終了する事業年度までの法人税の所得金額の累計額を比較すると、両者は同額となります。
※残存価額がゼロの場合

言い換えると、当初に圧縮損と相殺されて課税されなかった受贈益等が償却期間を通じて取り戻されて課税されることを意味します。

               

圧縮記帳の税効果
このように、圧縮記帳は会社の税負担を一時的に軽減するものですが、税金を軽減するものではありません。
圧縮損で一時的に損金算入額が増加しますが、その後は毎事業年度に計上する減価償却費が減少するため、所得金額が増加し、課税所得金額が大きくなります。
取得時は課税を免れることができるものの、毎事業年度の法人税額が大きくなるため、長期的に見れば、圧縮損は帳消しになります。このため、結果的に課税を繰り延べるテクニックであるということができます。

【関連コラム】
圧縮記帳とは①認められる場合
圧縮記帳とは③会計処理(直接減額方式と積立金方式)

【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪