遺言執行者の職務権限と報酬

掲載日 : 2014年3月14日

遺言執行者の就任
遺言執行者が遺言の執行者に就任することを承諾した時は、直ちにその任務を行わなければなりません(1007条)。

また、遺言執行者は、相続人その他の利害関係人(※)に遺言執行者に指定または選任されたことを通知する方が良いでしょう。
遺言者があえて、相続人の一部に「自己の死亡を知らせないように」との遺言の内容を書いてあるのであれば、それに従っても良いかもしれません。
※利害関係人
受遺者、金融機関、相続財産の管理者、遺言者の債権者及び債務者など

遺言執行者の職務権限
遺言執行者の主な職務は以下のものを挙げることができます。

財産目録の作成 相続財産目録を作成し、これを相続人に交付するとともに、遺言執行者が管理すべき財産を明らかにする。
相続人廃除の申立 相続財産を相続人等に移転させ、名義変更を行う。
不動産の登記の場合は、執行者と指定を受けた相続人だけで、相続登記ができます。
相続人廃除の申立 家庭裁判所に相続人廃除の審判の申し立てをする。
廃除の審判が確定すると推定相続人は相続権を失うことになります。
認知の届出 死亡日または、執行者就任から10日以内に戸籍上の届出をする。

遺言執行者の権利と義務
遺言執行者は遺言の執行にあたり、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為を行う権利及び義務を有しています。

このため、相続財産の処分等にあたって、遺言執行者が遺言に従って行う限り、相続人はこれを妨げる行為をすることはできません。
また、遺言執行者は、遺言内容を正確に執行していくことが求められています。

あるお父さんが、遺言執行者をXさんと定めた上で、財産を2人兄弟の長男のAさんの内縁の妻にすべて遺贈するという遺言書を残して亡くなりました。
これに対して、相続人の一人である次男のBさんが「遺留分減殺」の請求を遺言執行者のXさんに対しておこした事案があります。

Bさんの遺留分は4分の1(法定相続分の半分)ですが、Aさんは理由があって内縁の妻と婚姻届を出さずに子供もいないので、お父さん死亡後に、年の離れた兄であるAさんが死亡した場合は、すべて自分のものだとBさんは思っていました。
その腹いせもありBさんは、こともあろうか単独でAさんとBさん2分の1ずつとする相続登記を勝手にしてしまいました。
これは遺言執行者がいるのを知っているにも関わらずこれを妨げた行為になります。
そのため、Aさんの内縁の妻から法定相続分での登記の取消しの訴えを起こされただけでなく、公文書に不実の記載をさせたという罪で刑事告訴までされてしまいました。

遺言執行者の報酬
遺言執行者の報酬は、以下によります

  • 遺言者が遺言書で報酬を定めた場合、これに基づく
  • ①で定められていない場合、家庭裁判所の審判による

※被相続人の死亡後に報酬を定めることは別の問題を引き起こす可能性もあり、望ましくありません。このため、遺言書の作成時に遺言執行者の就任予定者と話し合っておく方が良いと思われます。

私の場合は、遺言書の作成のお手伝いを頼まれた際に、執行者として指定を受けるときです。

  • 推定相続人と一緒に遺言の話ができるような関係の場合は、執行報酬を推定相続人も交えた上で決めておくことが多い。
  • 推定相続人と会ったこともない状態で、執行者の指定をうける場合は、定めないこともあります。最初から裁判所で執行報酬をきめてもらうことを決めているパターンです。後々報酬額で相続人と揉めるより裁判所で決めてもらう方がきれいだとの判断です。

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【コラム執筆者】
勝司法書士法人
司法書士 勝 猛一