遺言執行者とは?権限と欠格事由

掲載日 : 2014年3月13日

遺言執行者とは?
遺言者に代わって、遺言書の中で示した最終意思を実現する者をいいます。

遺言者が死亡した場合、相続財産の管理や処分をはじめとして、遺言の中には何らかの行為を必要とする事項が存在します。このように、遺言事項に関して何らかの行為を行うことを「遺言執行」といい、遺言者の代わりに遺言執行を委託された者を遺言執行者といいます。

遺言執行者は必ずしも選任する必要はありません。
しかし、相続にあたっては、各相続人の思惑が交錯しやすく、相続を進めていくのはなかなか大変な場合があります。このような場合、法律的に保証された遺言執行者を決めておくことで、多少の混乱が生じても、被相続人の意思に沿った相続が行われることが可能となります。

1)指定遺言執行者
遺言者は遺言書で、1人または複数の遺言執行者を指定し、またはその指定を第三者に委託することができます(1006条1項)。
一般的には、弁護士や司法書士など中立的な立場で法律に通じている人を就任するケースが多く見られます。

2)選定遺言執行者
遺言書で遺言執行者が指定されていない場合、指定された遺言執行者が就任を拒否したり、死亡した場合、家庭裁判所は利害関係人の請求により遺言執行者を選任することができます。
※必ずしも遺言執行者を選任する必要はありません。
遺言執行者のみができることは、遺言による認知と推定相続人の廃除・取消です。
遺言執行者がいるときは、遺言執行者によって執行されることは、法定相続分を超える相続があるときや特定の遺産を相続させる場合、遺贈などがあります。

遺言執行者の権限
遺言執行者は、「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利及び義務を有する」と定められています(民法1012条)。
このため、遺言執行者が遺言書の内容に沿って行う限り、相続人はこれを妨げる行為をすることはできません(1013条)。
この制限に反して、相続人がなした行為は「何人に対しても無効」というのが判例の考え方です。ですから、遺言執行者がいるにも関わらず、自分にとって都合が悪いからと言って、勝手なことをするのは問題があります。

欠格事由
未成年者、破産者は遺言執行者となることはできません(1009条)。
ただし、相続人法人でも遺言執行者になれます。

遺言書で、長男を遺言執行者に指定するというような遺言が、たまにありますが、できれば相続人にあたる方は、避けた方が良いというのが私の考えです。
実際に、妹から兄が遺言執行者では信用できないとして、遺言執行者「解任」の訴えを起こされて、もともとぎくしゃくしていた関係が、さらに悪化しているという相談をうけたこともあります。
少々費用がかかったとしても、法律に明るく客観的に「自己の利益のために執行することが無いであろう」と一般的に思われる立場である弁護士や司法書士を、遺言執行者に指定する方が、結果として安くつきます。
なぜなら、遺言を書く以上、法定相続という平等の原則から外す訳ですから、相続人を執行者に指定するのは危険なのです。

それと、もう一つ執行者が遺言者より先に死亡していたらどうでしょう。あるいは執行者が高齢で執行ができないとか認知になっているとか・・・・
せっかく執行者を指定する以上は、できれば弁護士法人や司法書士法人というような継続を前提とした「法人」を執行者に指定する方がリスクが少ないかもしれません。
これも、執行者に指定されていた弁護士さんを尋ねたら、既に業務を辞めて廃業していたという相談を受けた経験からです。

【欠格事由の判断時期】
なお、遺言の効力は遺言者の死亡時に発生するため、欠格事由は遺言者の死亡時を基準として判断されることになります。
例えば、遺言書作成時において、遺言執行者として指定された者が破産者でなかったとしても、遺言者の死亡時に破産者になっていた場合、その者は欠格事由に該当し、遺言執行者となることができません。

【関連コラム】
遺言執行者の職務権限と報酬

【コラム執筆者】
勝司法書士法人
司法書士 勝 猛一