建物賃貸借契約終了における正当事由(借地借家法)

掲載日 : 2014年3月12日

建物賃貸借契約の期間満了による終了と更新
借地借家法の適用がある建物賃貸借(借家契約)において、賃貸人の側から賃貸借契約を終了させるためには、以下の手続きを採る必要があります。

  • 期間の定めがある賃貸借の場合
    期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をするか、同通知をした場合であっても、期間満了後の使用継続がされる場合には、これに対する異議を述べる。
    (これらを怠った場合、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。ただし、期間は定めがないものとされます。借地借家法第26条)
  • 期間の定めのない賃貸借の場合
    解約の申入れをする。
    (賃貸借契約は、解約の申入れの日から6か月を経過で終了します。同法第27条)。

正当事由の必要性(更新拒絶等の要件)
賃貸人が、建物賃貸借を期間満了または解約申入れによって終了させるためには、上記のとおり、更新拒絶の通知、使用継続に対する異議又は解約の申入れが必要ですが、それだけでは足りず、「正当事由」のあることが必要とされます(同法第28条)。

なお、使用継続に対する異議は、更新拒絶の通知(この段階で正当事由あることを前提)があることが前提とされており、更新拒絶の通知がないために、期間の定めがある建物賃貸借が更新された場合でも、更新された賃貸借は期間の定めのない賃貸借となることから、その後に正当事由が生じれば、賃貸人は、解約の申入れをすることができる(最判昭和28年3月6日)とされていることから、使用継続に対する異議について「正当事由」は要求されていません。

正当事由の内容
正当事由を考える上では、①建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む)が建物の使用を必要とする事情、②建物の賃貸借に関する従前の経過、③建物の利用状況、④建物の現況、⑤建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出の有無・内容が考慮されることとなります(同法第28条)。

とはいえ、これらの要件が全て同列に総合考慮される訳ではなく、第一に、賃貸人において、次のような建物の使用を必要とする事情が必要とされます(①)

Ⅰ 自己使用の必要性
-ⅰ 自己又は家族の居住・同居の必要性
-ⅱ 居住・営業の必要性
-ⅲ 営業上の必要性
Ⅱ 建替えの必要性
Ⅲ 有効利用
Ⅳ 売却の必要性その他

そして、これが相当程度認められる場合に、賃借人が建物の使用を必要とする事情(①)、賃貸借契約締結の経緯、契約内容等(②)、賃借人にとって建物の利用が必要不可欠なものか(③)、建物の残存耐用年数、建物の腐朽損傷、修繕の必要性の程度等(④)を考慮し、さらには、補充的な要件として、立退料などの財産給付(⑤)をも含めた上で、正当事由の有無が判断されることとなります。

【コラム執筆者】
あーち法律事務所
弁護士 金 泰弘