再転相続における相続放棄の順序①具体例

掲載日 : 2014年3月6日

甲の相続について、乙が相続の承認・放棄のいずれもせずに熟慮期間内(3か月以内)に死亡したとします。
このような場合に、乙の相続人たる丙が、乙自身の相続に関する承認・放棄の権利のみならず、乙の有していた甲の相続に関する承認・放棄の権利も承継することを再転相続といいます。

再転相続の相続関係図

丙は、乙の相続人として、また、甲の再転相続人として、甲、乙2つの相続について承認・放棄する権利を有します。
ただし、相続放棄をした者は「その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」とされています(939条)。
この規定を踏まえて、最高裁は相続放棄の順序により、結論が異なる場合があるとしました(最3小判昭和63年6月21日)。これを整理したものが以下の表です。

なお、最高裁の判断は以下の表のうち②のみであり、①や③については明示していません。④は記載があるものの、傍論にとどまります。

相続の承認・放棄の選択順序と効果

先に行う承認・放棄  選択とその効果
第1の相続  承認 明示せず。第2の相続について承認は可能と思われるが放棄ができるか等は争いがある(※)。
放棄 第2の相続についての選択可能
第2の相続  承認 明示せず。ただ当然、第1の相続についての選択は可能と思われる。
放棄 第1の相続についての選択権を失う

※詳細は「再転相続に関する考察」参照

第1の相続について先に放棄を選択したとしても、第2の相続について承認・放棄の選択をすることができます。
しかし、第2の相続について先に放棄を選択した場合には、第1の相続について承認・放棄を選択することはできなくなります。

具体的な事案とともに、次のコラムで再転相続の相続放棄について詳しく検討行きたいと思います。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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