再転相続と相続放棄

掲載日 : 2014年3月4日

再転相続とは
甲の相続について、乙が相続の承認・放棄のいずれもせずに熟慮期間内(3か月以内)に死亡したとします。
このような場合に、乙の相続人たる丙が、乙自身の相続に関する承認・放棄の権利のみならず、乙の有していた甲の相続に関する承認・放棄の権利も承継することを再転相続といいます。

再転相続の相続関係図

再転相続の熟慮期間
再転相続に関し、承認又は放棄をすべき期間(熟慮期間)は、再転相続人(丙)が自己のために相続の開始があったことを知った日から開始するとされています(916条)。

すなわち、再転相続人(丙)は、被相続人(甲)について相続を承認・放棄する権利を承継したわけですが、この場合の熟慮期間の始期は相続人(乙)が被相続人(甲)の相続について有していた残存期間ではありません。
例えば、被相続人に関する熟慮期間が残り1か月残された時点で相続人が死亡した場合、再転相続人の熟慮期間は1か月とはなりません。

これは、被相続人の相続財産の調査、相続の承認・放棄の機会を検討する時間を再転相続人に確保させようとする趣旨に基づきます。

ただし、再転相続が生じた場合について、熟慮期間に関する定めのみを置き、その他は解釈に委ねられていることから問題になります。

再転相続の承認・放棄の選択
乙の相続人である丙は、乙のみならず、被相続人(甲)の相続の承認・放棄の権利をも引き継ぐことになります。
この場合、丙は被相続人(甲)と相続人(乙)の相続について承認または放棄をするかを選択する場合に分けると、これらの組み合わせにより4つのケースを想定することができます。

再転相続の相続パターン

この点、相続放棄をした者は「その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」とされています(939条)。
例えば、相続人(乙)の相続を放棄した場合、丙は「初めから相続人とならなかった」ので、被相続人(甲)の相続の放棄又は承認もその効力を失うのではないか等が、問題になります。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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