相続回復請求権と共同相続人③立証の義務者

掲載日 : 2014年2月23日

共同相続人についても「相続権の侵害」は考えられますが、昭和53年判決(最大判昭和53年12月20日)は、884条の消滅時効の利益を享受できる侵害者を限定しました(主観的事情による884条の適用制限)。

すなわち、侵害者が他の相続人の相続権を侵害していることを知っていた場合や自分だけが相続人であると信じていることについて合理的な事由がない場合、たとえ相続開始の時から20年を経過したときにおいても、侵害者は時効の消滅を主張することはできないとされています。

884条の適用制限の理由
このように昭和53年判決は主観的事情による884条の適用制限を認めています。
その理由として、相続回復請求制度を一種の外観保護の制度、すなわち戸籍上は相続人らしい外観が整っている表見相続人を一定の条件のもとに保護すべき制度と解することができる点にあります。
(昭和53年判決判例解説583頁参照)

そのため、昭和53年判決は、「一般に各共同相続人は共同相続人の範囲を知っているのが通常であるから、共同相続人相互間における相続財産に関する争いが相続回復請求制度の対象となるのは、特殊な場合に限られる」としています。

立証の義務者
上記を前提とした平成11判決はかかる主観的事情について、「相続回復請求権の消滅時効を援用しようとする者が立証しなければならない」としました。
(最1小判平成11年7月19日民集53巻6号182頁以下)

つまり、主観的事情の立証責任は侵害者たる表見相続人側にあり、この立証も簡単なものではないことから、表見相続人が相続回復請求権の消滅時効を援用することはさらに困難なものとなったと思われます。
(平成11年判決判例解説〈平成11年民事篇下〉545頁参照)。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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