物権とは?債権との違いと具体例

掲載日 : 2014年2月10日

物権とは
物を支配する権利のことをいいます。
人を介すことなく、物を直接的に支配したり、利益を受けることができる権利をいいます。
物権のうちでも、所有権は典型的な物権といえるでしょう。

債権とは
ある特定の人(債権者)が他の特定の人(債務者)に対し、一定の行為をすることを要求することができる権利をいいます。
人に対する権利であり、その目的物については、債権者は債権を介した間接的な支配しか及びません。

物権と債権の違い
物権の特徴は債権と比較することにより理解することができます。
物権と債権の共通点としては、財産権(財産的な価値に関する権利)であるということが挙げられますが、以下のような違いがあります。

  物 権 債 権
1 を直接支配する権利 債務者()に行為を請求する権利
2 絶対的権利
(全ての人に主張することができる)
相対的権利
(債務者に対して主張することができる)
3 排他性がある
(同じ物の上に同じ内容の物権は成立しない)
排他性がない
(同じ物の上に同じ内容の債権が成立しうる)

1.支配と請求

  • 物権
    物を支配する権利であるため、物への支配が侵害された場合、これを排除する物権的請求権により、その支配を回復することができます。
    例えば、Aが所有する土地に、何の権利もないBが建物を建てて居住している場合、所有者Aは土地の所有権を侵害しているBに対し、返還請求(建物収去・土地明渡請求)を求める訴訟を起こし、勝訴判決を得ることにより強制的に建物を撤去することができます。
  • 債権
    債務者(人)に行為の履行を請求する権利であるため、債権者は目的物に対して債権を介した間接的な支配にとどまります。
    例えば、AがBにお金を貸していて、Bが返済しないからといっても、Aは無理やり取り返すことはできません。

2.絶対性と相対性

  • 物権
    全ての人に対してその支配を主張することができる絶対的権利です。
  • 債権
    債権は特定の相手(債務者)にしか主張できない相対的権利です。

売買は賃貸借を破る
AがBの所有する建物を賃貸借契約に基づき借りていたとします。
その後、Bがその建物をCに売却し、新たな所有者となったCが、Aに対し、立退きを請求した場合、 Aはこれを拒むことができません。
Aの有する賃借権(債権)は相対的な権利であり、旧所有者たるBに対してしか主張できないためです。すなわち、新所有者たるCに対しては対抗力を有しません。これが「売買は賃貸借を破る」といわれる理由です。

このように、物権対債権では、勝つのは物権となります。
ただし、これは原則であり、現実には賃貸借については借地借家法などにより保護されています。

3.排他性

  • 物権
    同じ物の上に同じ内容の物権は複数存在しません。
    つまり、物権には排他性があるということができ、一物一権主義ともいわれます。
    例えば、同じ不動産についてAとBが所有権を主張した場合、A・Bともに所有権が認められることはありません。
    所有権は先に対抗要件を具備した方、すなわち先に登記を行った方が取得することになります(公示の原則)。
  • 債権
    同じ物の上に同じ内容の債権が複数存在し得ます。
    例えば、同じ不動産について抵当権が複数設定されていることがあります(各々の抵当権の内容は異なります)。
    また、CがAとBの両者に不動産を売却する契約をした場合、AとBはそれぞれCに対して不動産の引渡債権を有することとなります。ただし、上記の通り、実際に所有権を取得できるのはAまたはBのいずれか一方になり、一方の契約は履行不能となります。

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【コラム執筆者】
佐々木・魚谷法律事務所
弁護士 魚谷 和世