相続廃除とは

掲載日 : 2014年2月3日

相続廃除とは
相続廃除とは、被相続人の意思により、家庭裁判所が推定相続人の相続資格を奪う制度です(892、893条)。
被相続人の意思によるという意味で、当然に相続資格が失われる相続欠格(891条)と異なります。また、被相続人の意思によるので、その反対に取消(宥恕)を求めることも出来ます(894条)。

相続欠格と異なり、代襲相続も認められません(887条2、3項、889条2項)。

遺留分を有する推定相続人
法定相続人には、法定相続分があります(900条)。
被相続人は、遺言で相続分の指定も出来ますが、法定相続人の遺留分を害することは出来ません(902条1項)。
ところが、廃除によれば相続資格そのものが奪われるので、法定相続人には遺留分すらなくなります。逆に、被相続人は、遺留分のない法定相続人(兄弟姉妹)については、遺言で相続に関する全ての権利を奪うことが出来ます。そこで、廃除の対象になるのは「遺留分を有する推定相続人」と解されています(892条)。

相続廃除の要件
相続廃除は「虐待」「重大な侮辱」「著しい非行」が要件となっています。
ただし、法定相続人に与える影響が多いので、廃除の要件を充たすかは「単に被相続人の主観的な感情や恣意だけで判断されるべきものではなく、そのような行為に至った背景を踏まえつつ、社会通念に照らして客観的に判断」されるべきとされています(窪田「家族法第2版」有斐閣381頁)。

例えば「少年非行の場合は、非行の原因が少年にばかりあるとはいえないので、少年時代の行為のみでは廃除の原因にはなり得ないとも解されています(坂本「廃除事由に関する最近の審判例の動向」判タ1100号320頁以下)。
また、被相続人の側に誘発責任がある場合には、人的信頼関係を破壊したのが被相続人の方であるとの理由により、廃除の理由に該当しない場合がある」とされます(潮見「相続法[第2版]」弘文堂27頁)。

相続廃除の意思表示
相続廃除の意思表示を、特に遺言で行う場合「『廃除』の言葉を用いる必要はなく、原因(事由)を示す必要もないが、相続上の利益を一切与えない趣旨が明示」されていれば足りるとされています(伊藤「相続法」有斐閣186頁以下)。

ただ、そうなると、例えば、遺言で「誰々には与えない」という趣旨の記載がされている場合、それが相続分を0とする指定(902条1項)なのか、廃除の意思表示なのか問題になりますが、その影響力の強さを考えると後者であるという「判定には慎重を期する必要がある」と思われます(前掲潮見28頁)。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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