民事信託とは①│司法書士 脇田直之

掲載日 : 2018年4月3日

民事信託とは
あなたの資産について、誰に・どのような目的で・いつ渡す、ということを生前に契約しておきます。
そして、その資産を管理できる権利を信頼できる者に移し、その契約を確実に実行させていくことであり、資産管理の方法の一つです。

民事信託のしくみ

具体的には、①委託者が信頼できる相手(受託者)に資産を委託します。そして、②受託者は一定の目的(信託目的)に従い、資産を管理・運用・処分し、③特定の人(受益者)が利益を受け取る、という仕組みとなっています。

信託銀行の扱う信託商品や、投資信託のように商売として信託を用いるのではなく、あくまでも私人間での信託の意味合いを持つため、「民事信託」と言います。
特に、資産管理などを目的に家族間で行うことが多く想定されていることから、「家族信託」とも呼ばれています。

民事信託が注目される理由
以下のような現代の問題を受けて民事信託は生まれました。
一部の資産家を対象とするものではなく、誰でも広く利用できる身近な仕組みであり、特に、「高齢者や障がいをお持ちの方の資産管理」に有効だと言われています。

①高齢社会の到来と認知症
平均寿命が延びて高齢者が増加し、これと共に認知症が社会問題化しています。
つまり、保有資産があるにも関わらず、それらを適切に管理することが困難な社会が到来したのです。
これからは、判断能力があるうちに将来の資産管理のことを考えておく必要が出てきました。

②成年後見制度の補てん
資産管理能力の不安は①で述べた通りですが、「成年後見制度」がすでに制定されています。
この制度のうち、代表的な法定後見制度は、本人の判断能力がなくなったときに、親族が裁判所に申立てを行い、成年後見人を付ける制度です。成年後見人は、本人に代わり資産の管理を行います。
しかし、この制度は、資産の処分・運用のためには裁判所の許可が必要であったり、相続対策に用いることができないことから、柔軟な対応がしにくい欠点があります。

【関連コラム】
民事信託とは②メリット
民事信託とは③デメリット

【コラム執筆者】
IS司法書士法人/IS行政書士事務所
司法書士, 行政書士 脇田 直之