マイホームの土地建物の登記を自分でできる?|司法書士 染田直樹

掲載日 : 2018年2月18日

「マイホームを購入にあたり、少しでも節約したいため、不動産の登記を自分で行いたい」
という質問を受けることがあります。

確かにご本人で不動産の登記申請を行うことは可能です。
しかし、第三者(他人)から購入する場合や金融機関からの融資を受けて購入する場合は、事実上、「困難」または「不可能」です。

事実上、「困難」または「不可能」である主な理由として、4つあります。

理由1:取引の相手方の信用性
不動産を購入して登記の申請を行う場合、添付書類として、売主の登記済権利証(または登記識別情報)と印鑑証明書(以下、「添付書類」といいます。)が必要です。
売主は、売買代金を支払ってくれた相手とはいえ、不動産の取引で会っただけの買主に、重要な添付書類を渡してくれるでしょうか?
一方、買主も、売主から提供された添付書類が正しいものであると判断する必要があります。もし添付書類に不備があれば、せっかく申請しても、法務局から補正を求められます。補正に時間を要するのであれば、却下または取り下げを促されます。その時に、売主は協力してくれるでしょうか?もしかしたら、売主は、故意に不備のある添付書類を提供して、お金だけ受け取って逃げてしまうかもしれません(なお、そのような売主の行為は一般的に『地面師』と呼ばれ、詐欺罪に該当します。)。

理由2:金融機関の要請
金融機関の住宅ローンを利用する場合は、事実上「不可能」です。
住宅ローンは、不動産を担保に住宅資金を借り受ける契約です。買主の所有権移転登記と同時に抵当権設定登記の申請をします。抵当権設定登記は、問題なく買主への所有権移転登記ができることが大前提です。もし、買主への所有権移転登記ができなかった場合は、金融機関の抵当権設定登記もできません。つまり、金融機関との間で、契約違反となります。そうなると、金融機関としては大問題です。即座に、買主へ住宅資金全額の一括返済を求められる可能性もあります。
金融機関は、このようなリスクは極力排除いたしますので、司法書士の関与を求めます。

理由3:書類作成の困難性
一般的に不動産の取引は、契約をして、その1~2か月後に決済(購入代金の支払いと鍵の引渡し)が行われます。その決済日当日に、登記の申請を行います。
司法書士はご依頼をいただくと、さまざまな事前調査(売買契約書・登記記録・登録免許税など)を行った上で、登記申請書類を作成し、決済日に臨みます。
マイホームの購入となると、購入資金の準備、引っ越しの準備等で多忙であることでしょう。そのような時期に、十分な事前調査と登記申請書類の作成をする時間を確保できるのでしょうか?
また、何とか登記申請ができたとしても、補正があれば、平日に法務局から呼び出しがあり、訂正等が求められます。補正に手間取れば、却下または取下げを促されます。

理由4:取引の安全性
不動産業者が仲介に入る場合も、司法書士の関与を求めます。
不動産仲介業者は、売主と買主の間で、売買契約書とおりスムーズに代金の受け渡し及び物件の引き渡しができるように手配します。その中に、登記名義を売主から買主に移転されることも含まれます(通常、売買契約書には、登記名義の移転は売主・買主双方の義務として記載されます)。
もし、登記ができなかった場合、売主または買主に迷惑がかかることになります。売主は、担当した不動産仲介業者にクレームすることでしょう。不動産仲介業者は登記の専門家ではありません(手配するだけ)。そのようなリスクがあることをお客様である売主又は買主の方に勧めるでしょうか?

このように、買主・売主に生じる上記のようなリスクを排除するために、第三者であり登記の専門家である司法書士に代理を依頼することが慣例となっています。
少しでも節約したいお気持ちは十分に理解できます。
マイホームの購入は、一般的な高額な資金が動きます。一種の「保険」と考えて、司法書士に依頼されることをお勧めします。

自分で登記申請をしても問題が無い場合
例えば、ご両親から現金で不動産を購入するなど、上記のようなトラブルが生じにくい場合などは、ご自身で登記申請をされても問題ないかと存じます。
司法書士は、一般的には不動産の仲介業者から紹介されますが、ご自身で別の司法書士を指名することも可能です。
なお、不動産仲介業者を通さない不動産の取引においても、司法書士を活用することで売買契約書の作成から登記申請までご依頼いただけますので、是非一度司法書士にご相談ください。

【コラム執筆者】
染田司法書士事務所
司法書士, FP 染田 直樹