預かり保証金を持ち回りした場合の税務上の取扱い|税理士 夫馬竜司

掲載日 : 2018年2月6日

預かり保証金とは
賃貸マンションや賃貸ビルといった収益物件には、預かり保証金というものがあります。
預かり保証金は、保証金や敷金という名称で賃借人(テナント)から預かったお金であり、賃借人が退去する際に返還するものです(返還債務)。

収益物件の売買にあたり、新所有者(買主)は賃借人の退去の際に返還すべき預かり保証金を引き継ぐことになります。

関西における預かり保証金の引継ぎ
保証金や敷金は以下のいずれかにより引き継がれることになります。
①買代金とは別に預かり保証金の決済をする。
②売買代金に預かり保証金が含まれる。

関西では、②の方式が採用されています。
つまり、関西では預かり保証金が売買代金と相殺されることにより決済されており、売主から買主に預かり保証金をお金で別途引き継がれるようなことはありません。
買主としては、実際に自分が預かったことが無いお金を将来賃借人に返還するような感じです。

例)不動産の価格1億円。預かり保証金500万円。関西方式の場合。
売買価格=1億円。
1億円の売買代金の中に預かり保証金が含まれます。

【関連Q&A】
保証金の持ち回りとは?収益物件の取引における関西と関東の違い

譲渡所得の申告
この持ち回りとなる預かり保証金は、買主にとって取得価格となり、売主にとって売買価格となります。
つまり、将来返還するべきお金なのですが、売買価格を構成します。

以下の取引を例にしてみましょう。
例)不動産の価格1億円。預り保証金500万円。
①買主

関西方式・それ以外の方式(同じ)
1億500万円

②売主(売却時の簿価=8,000万円)

関西方式
現金1億円 / 固定資産8,000万円
売却益2,000万円
預かり保証金500万円 / 売却益500万円
それ以外の方式
現金1億円 / 固定資産8,000万円
売却益2,0000万円
預かり保証金500万円 / 現金500万円

預かり保証金を忘れた場合の追徴課税
収益物件の譲渡所得の申告にあたっては、土地・建物の金額は勿論把握しておく必要があります。
しかし、関西方式による取引については預かり保証金は実際にお金が動くことがないので、うっかり忘れがちです。

持ち回りとなる預かり保証金が売買価格から抜けていないか、税務署は必ずチェックします。
もしも抜けていた場合、以下の恐れがありますので、注意しましょう。
①所得税の追徴課税
②消費税の追徴課税(建物の売買価格に相当する金額が増えることとなるため、課税事業者である場合は課税対象)

【コラム執筆者】
税理士法人なにわ会計
税理士 夫馬 竜司