失踪宣告とは④取消しと問題点|司法書士 脇田直之

掲載日 : 2018年2月1日

行方不明者が生きていたことが分かった場合、失踪宣告の取消しを行うことにより、相続や婚姻といった法的な権利は失踪宣告される前の状態となります。

失踪宣告の取消しにより、行方不明者だった人は「生きている」ということとなりますが、すでに再婚をしていたり、遺産相続を行っていた場合、どうなるのでしょうか。

再婚していた場合
行方不明者が見つかり、失踪宣告の取消しを行うと、行方不明者との婚姻関係が復活し、重婚しているように見えます。
しかし、行方不明者が長期間にわたり生死不明のままで、生きているのを諦めて再婚した場合、
後から結婚した人と夫婦関係が認められます。
ただし、再婚した人のいずれかでも行方不明者が生きていることを知っている場合は、再婚は取消しになります。

相続していた場合
失踪宣告を受けて、相続により財産を取得した者は、失踪宣告の取消しにより、取得した財産を返還する必要があります。

保険金を受け取っていた場合
失踪宣告を受けて、保険金を受け取っていた場合、失踪宣告の取消しにより、受け取った保険金を返還する必要があります。

返還すべき範囲(相続・保険金)
「現存利益」で行方不明者に返還すれば良いとされています。
① 現に利益が残っている範囲
手元に残っている金額を返還
② 利益の存する限度
利益が当初の形で残っている場合のみではなく、その価値が形を変えて残っている場合を含みます。このため、取得した財産を生活費として使った場合、取得者は自分の支出を免れており、利益は残存していることとなります。
取得した財産により生活に余裕ができた分は返還する必要があります。
一方、宝くじ・競馬・パチンコといったギャンブルで財産を消費した場合、利益を得ていたいため、返還対象とはなりません。

【関連コラム】
失踪宣告とは①普通失踪と特別失踪
失踪宣告とは②申立てのながれ
失踪宣告とは③取消し

【コラム執筆者】
IS司法書士法人/IS行政書士事務所
司法書士, 行政書士 脇田 直之